【今週の☆☆☆】小栗旬と星野源の初共演作『罪の声』、人気コミックの映画化『とんかつDJアゲ太郎』など週末観るならこの3本!
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、10月30日から今週末の公開作品をピックアップ。未解決事件をモチーフにしたヒューマンミステリー、北村匠海がDJを目指すとんかつ屋の息子を演じるコメディ、アルジェリア発、夢を目指す少女の物語などそれぞれに見ごたえ濃厚な3本がそろった!
未解決事件の“真相”にぐいぐい引き込まれる…『罪の声』(公開中)
令和直前、昭和最大の未解決事件である“企業脅迫事件”に、全く違う立場から関わることになった2人の男が、真相にたどり着くまでを描く。原作は、綿密な取材によって、まさに“これが本当の本当に真実では!?”と思わせる推理を展開した、塩田武士の同名ベストセラー小説。それを、「逃げるは恥だが役に立つ」のコンビ、監督・土井裕泰×脚本・野木亜紀子が手掛け、心震えるヒューマンミステリーに仕立てた。キャスト勢も豪華!35年前の事件を追う新聞記者・阿久津に小栗旬。父親の遺品から、脅迫テープに使われた声が自分であると知ったテーラー店主・曽根に星野源。 “脅迫テープに使われた別の2人の子ども”を追う中で、阿久津と曽根が出会い――。とりわけ前半は畳みかけるような展開で、観客は完全に前のめりになるハズ。役者陣の抑え目な演技も効き、それぞれの心情がジワジワ染みてくる。そして後半、遂に真相解明となるカタルシスを覚えながら、あの時の“子どもたち”の人生に胸を掻きむしられる!(映画ライター・折田千鶴子)
心を解放させるのにピッタリなエンタメ!…『とんかつDJアゲ太郎』(公開中)
豚肉を揚げるとんかつ屋とフロアを盛りアゲるDJは同じじゃないか!?その斬新な発想は原作の人気ギャグ・コミックの革新的な発明だが、本作はそれを実際に検証するように、鮮烈な映像とリズミカルなサウンドを駆使した映画ならではの表現で視覚化しているのが素晴らしい。とんかつを切るザクザクザクッという音とキャベツを千切りにするときのシャキシャキ音が、“アゲアゲ”のクラブサウンドとシンクロして観客の心も一気にアゲる!主演の北村匠海がこれまでの憂い顔を封印し、ちょっぴり天然な老舗とんかつ屋の三代目・アゲ太郎を快演。ミュージシャンの顔も持つ彼が、持ち前の音楽センスと完璧にマスターしたキャベツの高速千切りで楽しそうにビートを刻み、コテコテのギャグで笑わせてくれるのも新鮮だ。さらに、アゲ太郎のライバルDJ・屋敷を伊藤健太郎がクールに演じ、DJの師匠・DJオイリーに伊勢谷友介がなり切っているほか、加藤諒、浅香航大、栗原類らが演じた個性的なキャラが笑いを誘う。でも、それだけじゃない。とんかつ屋にとってもDJにとっても、それこそ仕事や生きる上でも大切なこともちゃんと教えてくれる。この絶妙なバランス感覚は、現代の社会やカルチャーを敏感に感じながら生きている『チワワちゃん』の二宮健監督ならでは!沈みがちな心を解放させるのにピッタリな、最高のエンタテインメントだ。(映画ライター・イソガイマサト)
自分らしくあることで闘うヒロインに胸が熱くなる!…『パピチャ 未来へのランウェイ』(公開中)
デザイナー志望のおしゃれな大学生ネジュマはナイトクラブで自作のドレスを販売している。イスラム過激派の勢いが強まる街では女の子たちは好きな服も着られず、クラブに行くのも命がけ。親の決めた知らない相手と結婚させられそうな友だちや恋人に殴られる親友。恐怖で女性を黙らせようとする社会で、自分らしくありたいと願うネジュマは学校でファッションショーの開催を試みる。“暗黒の10年”と呼ばれる90年代アルジェリアで過ごしたムニア・メドゥール監督が当時の生々しい体験を主人公ネジュマに投影。青春と呼ぶにはあまりに恐ろしい出来事を繰り返しながら、何度も立ち上がるネジュマのまぶしさ。着飾るのは男性のためではなく自分のため。逃げ出さず、武器ではなく、自分らしくあることで闘う有言実行のネジュマに女性ならきっと胸が熱くなる。(映画ライター・髙山亜紀)
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて!
構成/トライワークス