メガネの小芝風花が可愛い!ウエダアツシ監督「メガネとヘルメットを被せたら右に出る者はいない」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
メガネの小芝風花が可愛い!ウエダアツシ監督「メガネとヘルメットを被せたら右に出る者はいない」

インタビュー

メガネの小芝風花が可愛い!ウエダアツシ監督「メガネとヘルメットを被せたら右に出る者はいない」

神話の里・奈良県葛城地域を舞台にしたヒューマンドラマ『天使のいる図書館』(2月18日公開)で、辞書と地図帳が大好きなちょっと頭の固い愛すべき“不思議ちゃん”を演じた小芝風花。映画『魔女の宅急便』(14)で鮮烈なスクリーンデビューを飾った小芝もいまや19歳に。まもなく20歳を迎える小芝と、本作で少女から大人へとスライドする彼女の魅力を存分に切り取ったウエダアツシ監督にインタビューし、撮影秘話を聞いた。

図書館の新人司書である吉井さくら(小芝風花)が、図書館を訪れた老婦人・芦高礼子(香川京子)との出会いを経て成長していく。前髪を切り揃え、長い髪をきれいに束ねたヘアスタイルに大きなメガネをかけたさくら。風貌を見ただけで彼女の生真面目さが伝わってくる。

小芝が「最初に本読みをした時に自前のメガネをかけていたから、監督のなかでさくらのイメージが“メガネの子”となったみたいで、小道具で私物と全く同じ形のメガネを用意していただきました」と言うと、ウエダ監督が「そうなんです。さくらのキャラクターにぴったりで。メガネとヘルメットを被せたら小芝風花の右に出るものはいない!」と笑う。

何でもかんでも現実思考のさくらはあまり感情に流されないタイプだ。思ったことをそのままスラスラと口に出すロボットのようなさくらは、可笑しくもどこか愛らしい。小芝はいくつもの長台詞を途切れることなく流暢に話しているが、その話し方は試行錯誤の末にあみ出したものらしい。

「本読みの段階でどうしようと思いました。ウエダ監督といろんなキャラを作って読んでみたのですが、淡々と言うだけではなんだか面白くないなあと。長台詞を見ていて飽きないためにはどうしたらいいんだろうと悩みました。でも、本読みをやりすぎて、撮影前には台詞がきれいに入っていたのは良かったです」。

ウエダ監督は「脚本作りもギリギリまでやっていましたし、準備期間もほぼなかったので台詞を覚えるのは大変だったと思いますが、風花ちゃんはとにかく覚えるのが早いんです」と感心しきりだ。「今回演じてもらったさくらは相手のことを考えず自分の知識だけをツラツラ話しちゃうようなちょっと失礼な変わった子。大女優・香川京子さんの前にしても臆することなく、そんな失礼なさくらを堂々演じてくれました」。

小芝は「緊張しましたよ」と念を押すように言うが、ウエダ監督は「いつもそう言うんですが、緊張しているように見えないんです」と首を傾げる。「会見でも毎回発言がものすごくしっかりしているし、自分の意見もちゃんともっています。『前もって考えてきているの?』とこっちが聞きたくなるくらい。普段接していても19歳の子としゃべっているとはとても思えない。きっと苦労するだろうと思っていた長台詞のお芝居のハードルもあっさり超えられちゃったので、現場ではさらにいろんなことに挑戦してもらいました」。

たとえば、さくらが左利きという設定も後からウエダ監督が加えたものだ。小芝は「お弁当を食べるシーンがあるんですが、よりによって食べにくい麺なんです。それをがっと食べるのに必死でした」と苦笑いする。ウエダ監督は関西人のソウルフードとしてうどんを選んだそうだが、それ以外にも理由があった。

「さくらという知識が豊富な女の子像を作るのに、すべてが完璧なロボットのような子になっちゃうと観ていても面白くないし、主人公として嫌われる可能性もあるかなと思ったんです。風花ちゃんが慣れていない左利きにすれば食べ方や書く文字なども少し雑になるだろうし、それがさくらの人間身としての愛嬌につながればいいなぁと思って提案しました。演技する上では大変かなとも思ったけど、それでもあっさりクリアするあたり、さすがです(笑)」。

この春、20歳を迎える小芝。本作では少女以上、大人未満というマジックアワーのように貴重な時間が収められている。そこで小芝に女性として、また女優としてのいまについても聞いてみた。「いまは自分が甘えすぎちゃっている感じがします。小さい頃の20歳はすごく大人だと思っていたので。いまその年齢になってくると『大丈夫かな?』と不安になります。19歳の抱負としては、20歳になるまでにたとえ低くてもいいから土台を作りたいと思いました。人といっぱい話し、アクティブに行動しておでかけもして幅を広げたいと。でも、気がつけばあっという間に20歳目前。20歳だと法的にも大人になるから、現場でも自分の行動に責任を持たないといけないと思いますが、まだまだ勉強中なので焦っています」。

今年40歳になるウエダ監督は、小芝の発言を聞いて「すごいよね。19歳でそんなことが言えるなんて」と少しのけぞった。「確かに小学生の時は20歳は大人に見えましたよ。でもね、40歳になっても全然子どもですよ。なってみるとそんなもんです(笑)」。

小芝は笑いながら「どれが正解というのもわからないし、まだふらふらしてる状態なので、とにかくいろんな人と話をして、自分で決断できるような人になりたいです」と元気に締めくくってくれた。【取材・文/山崎伸子】

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