“警察監修”ってどんなお仕事?「TWO WEEKS」「サギデカ」から映画『望み』までを手掛ける、プロが宿すリアリティ

インタビュー

“警察監修”ってどんなお仕事?「TWO WEEKS」「サギデカ」から映画『望み』までを手掛ける、プロが宿すリアリティ


――五社プロダクションは様々な映画やドラマに関わられています。志保澤さんはどのような作品に関わられていますか。
「最近監修させていただいた作品ですと、NHKの『サギデカ』やカンテレの『TWO WEEKS』などがあります。両方とも企画段階から参加させていただきました。『サギデカ』は、まさに現在、問題視されている高齢の方を対象にした悪質な特殊詐欺を題材としたドラマで、これはなんとしても皆さんに見てもらって抑止面で貢献できればという強い気持ちがありました。この番組においては、現場指導をする機会がございまして、かなりリアルな出来上がりの作品になったと自負しています。『TWO WEEKS』も現場指導にあたる機会が多く、主演の三浦春馬さんの演技は抜群でした。野山を疾走するシーンを見たとき、その俊敏さと、演技力のすばらしさに感動を覚えました」

――『望み』に出演されている岡田健史さんの出演作「MIU404」も五社プロダクションさんが監修です。
「残念ながらこちらは私の担当ではないのですが、伝え聞いたところ、『MIU404』の脚本家の野木亜紀子さんがものすごく取材熱心な方で、各専門家にお会いして指導を受けたいという申し出が五社プロに入りまして、数名の担当者が担当しました。機動捜査隊をベースにした番組で、そこで重要なのは無線です。通信指令室の無線担当に関する指導をさせていただきました。所作ではおもに星野源さんの所作指導を担当しております」

ドラマ「MIU404」Blu-ray&DVDは12 月 25 日(金)発売予定
ドラマ「MIU404」Blu-ray&DVDは12 月 25 日(金)発売予定発売元:TBS 販売元:TC エンタテインメント [c]TBS スパークル/TBS

――作品に描かれる犯罪のジャンルによって、担当スタッフが違うのでしょうか。
「五社プロのスタッフは元警視庁の警察官が中心ですから大体の犯罪のパターンはわかっております。交番勤務だった者、警察署内の事務職だった者、刑事だった者と専門は多岐にわたります。刑事でも、刑事事件、少年事件、薬物事件、それぞれの専門分野に分かれています。私は現役の頃、刑事でしたから刑事事件を担当することが多いです」

――五社プロダクションさんは「刑事ドラマに3割のリアルを」というモットーを掲げられていらっしゃいますね。
「このキャッチフレーズは五社プロの創立メンバーである飯田裕久が考えたものです。警察のリアルを伝えることはひじょうに難しいものですから、3割を五社プロの警察監修の最低限の基準にしています。実際の捜査を100%リアルに表現しようと思うと、地道な捜査の積み重ねですから、ドラマや映画としておもしろくなくなってしまいます。3割のリアルが、観客にとっておもしろく、かつ、現場にも影響のない、いい塩梅なんです。基本線はなにかというと、第一に、現職の後輩たちに迷惑をかけない、捜査を妨害しないこと、第二に、捜査手法を詳細に伝えることで犯罪を助長しない。この2点を常に心がけて監修にあたらせていただいています。あくまでメインは“防犯”です」

――「犯罪を抑止したい」という想いが志保澤さんのお仕事の一番のモチベーションですか。
「現職で刑事をやっていた私が退職したのち、なにができるか考えた時、警察監修の仕事に携わることで、少しでも犯罪を抑止し、あるいは防犯面に役立つ情報をお伝えするということでした。ドラマや映画を参考にして、犯罪に関わることがないようにと常に願いながら作品に参加させていただいています」

『望み』は公開中
『望み』は公開中[c]2020「望み」製作委員会

取材・文/木俣冬



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