なぜ火山にテーマパークを建てた…!『トゥームレイダー』監督が贈る、灼熱の中国映画がド迫力
『MEG ザ・モンスター』(18)、『スカイスクレイパー』(18)などの大作に一役買い、ハリウッドでも存在感を放っている中国資本。これらの米中合作以外にも、多くのハリウッド大作には中国の製作会社が共同出資している。近年では、中国実写版『カイジ 動物世界』(18)のマイケル・ダグラスや、日中戦争の重慶爆撃を描いた『エア・ストライク』(18)のブルース・ウィリス、『スマート・チェイス』(17)のオーランド・ブルームなど、ハリウッド俳優が中国市場を開拓するという流れも生まれつつあるのだ。
さらに、『エア・ストライク』にアートディレクターとして参加したメル・ギブソンなど、プロデューサーや音楽家、撮影監督といったハリウッドで活躍してきた作り手たちが、同様に中国の作品に参加することもしばしば。監督も例外ではなく、11月20日より公開となった『ボルケーノ・パーク』では、『コン・エアー』(97)、『トゥームレイダー』(01)などのブロックバスタームービーを手掛けてきたサイモン・ウェストが監督を務めている。
『スカイスクレイパー』や『スマート・チェイス』と、中国とハリウッドが絡んだ作品が続く台湾出身のオーストラリア人女優ハンナ・クィンリヴァンも出演している『ボルケーノ・パーク』は、世界初の火山テーマパークを舞台に、自然の猛威が襲いかかるというパニックムービーだ。
火山学者のタオ(ワン・シュエチー)は、天火島と呼ばれる火山島で調査にあたっていたが、その最中に火山が突如噴火。妻が帰らぬ人となってしまう。それから20年後、天火島には“活火山の上に建つ世界初の火山テーマパーク”という触れ込みの一大リゾートが建設され、タオの娘シャオモン(クィンリヴァン)が学者として働いていた。そんななか、火山が不穏な動きを見せたためタオは娘を連れ出そうと島へ向かうが、噴火によって島は瞬く間に紅蓮の地獄と化していく。
超巨大ザメと人間のタイマンバトル、1000m超の高層ビルでの人命救出劇など、大胆な超大作を成立させてきた近年の中国資本が絡んだ映画。『ボルケーノ・パーク』でもそんなけれん味があふれまくっている。たとえば、天火島の目玉として登場する火口内部の展望台は剥き出しで設置されているうえ、床はガラス製という安全面への配慮がゼロ(!)な構造。いろいろとツッコミたくなるが、そんな野暮なことを考えるなと言わんばかりにすぐさま火山が大暴れし、早々に火山弾によって木っ端微塵に破壊されてしまう…(ガラス床のせいで、破片が飛び散りまくって地獄度もアップ!)。
さらに、麓へと下るケーブルカーが途中で脱線し、急斜面を真っ逆さまに下るノンストップ・アトラクションとなったり、火山弾が降りしきり火砕流が迫りくる中を車で駆け抜けることになったりと、火山の地形や特性をフル活用した地獄のテーマパークをスクリーン上に誕生させている。
爆発シーンなどは、実際にセットを組んで撮影したリアルな映像とCGを組み合わせ、大迫力の仕上がりとなっている『ボルケーノ・パーク』。中国映画のイメージを覆すようなスペクタクルな映像を、ぜひ大きなスクリーンで楽しんでほしい!
文/サンクレイオ翼