妻夫木聡がのび太役で感じた、家族にあふれる“愛”「自分が父親になるなんて、思ってもみなかった」
2014年に公開されメガヒットを記録した3DCGアニメーション映画『STAND BY ME ドラえもん』の続編『STAND BY ME ドラえもん2』(公開中)で前作から続投する3名、「大人のび太」の声優を務めた妻夫木聡、八木竜一監督、山崎貴脚本・共同監督の鼎談を行い、プレスコとアフレコの制作秘話や、本作のベースとなった原作の名エピソード「おばあちゃんのおもいで」(てんとう虫コミックス『ドラえもん』第4巻収録)について語ってもらった。
本作では、のび太とドラえもんがタイムマシンで過去へ行き、亡くなったおばあちゃん(声:宮本信子)と再会する。おばあちゃんは、小学生になったのび太を見て驚きつつも、やさしく受け入れ「あんたのお嫁さんをひと目見たくなっちゃった」とつぶやく。そこでのび太たちは再びタイムマシンで、のび太の結婚式当日へ向かうが、なんと当ののび太は逃げだしていたのだった…。
――国内興収83.8億円、全世界興収100億円超えという大ヒットを記録した前作『STAND BY ME ドラえもん』ですが、続編となる本作の製作が決定した時の感想から聞かせてください。
山崎監督(以下、山崎)「前作は一生に1度の『ドラえもん』CG映画というお祭りだと思い、惜しげもなく入れたかったエピソードを全部投入したので、続編が決定した時、うれしかった反面、どうしよう!?と思いました(苦笑)。それで、1作目で入れたかったのに入れられなかった『おばあちゃんのおもいで』をベースにすることにしたのですが、そこからが四苦八苦でした」
妻夫木「確かに前作は、なんて贅沢な『ドラえもん』映画なんだろうと思いました。それで、今回はなにが原作なのかと思ったら、僕も大好きな『おばあちゃんのおもいで』が入っていたので、脚本を読んだ時点で泣いちゃいました」
「たまたま公開延期され、『TENET テネット』が先に封切られたことが良かったのかもしれません」(八木監督)
――八木監督は山崎監督の脚本を基に、どんなことを意識されて挑んだのですか?
八木監督(以下、八木)「のび太とドラえもんが過去と未来を何度も行き来する話なので、お客さんがどこの時間軸にいるのか迷わないように、ちゃんとついてこられるような作りにするよう、気をつけました。ちょうど今年は先に『TENET テネット』が公開されましたが、本作はあそこまで難しくはないと思います(笑)」
――クリストファー・ノーラン監督作『TENET テネット』は時間を何度も逆行する物語ですが、確かに本作とは時空を行き来するという共通点がありますね。そのおかげで、本作の設定に入りやすく感じたかもしれません。
八木「そう考えると、たまたま私たちの映画がコロナで公開延期になり、『TENET テネット』のほうが先に封切られたことはかえって良かったのかもしれませんね」
山崎「タイミングとしてはね。もちろん、ねらったわけではなかったのですが(笑)」