ロバート・ゼメキス監督がアン・ハサウェイの演技を大絶賛!「これ以上ないほど満足している」
「アン・ハサウェイが僕の第一希望だったんだ。彼女がこういう役を演じているのを一度も見たことがなかった。でも彼女には、邪悪なグランド・ウィッチを演じる能力があることがわかっていたんだ」。アン・ハサウェイが初めて悪役に挑んだ『魔女がいっぱい』(公開中)でメガホンをとったロバート・ゼメキス監督は、その意外すぎるキャスティングに絶対的な自信をのぞかせた。
「彼女は本当に素晴らしい女優で、演技にはとても深みがある。だから彼女はこのグランド・ウィッチというキャラクターを理解することができ、必要とされることをすべて与えることができるとわかっていたんだ。僕はアンが演じているところを想像できたし、実際にアンがそれを演じることになった。これ以上ないほど満足しているよ」。
『チャーリーとチョコレート工場』(05)や『ファンタスティックMr.FOX』(10)などの原作者として知られるロアルド・ダールの同名ベストセラーを映画化した本作は、60年代の豪華ホテルを舞台に魔女たちのとある計画を知ってしまった少年がそれを阻止しようとするファンタジックな物語。ハサウェイは美しくも恐ろしい、魔女たちを率いるグランド・ウィッチ役を演じ、これまでのイメージを一新する演技を披露している。
ハサウェイと初タッグとなったゼメキス監督は、どのようにしてグランド・ウィッチというキャラクターの魅力を引き出すことに成功したのだろうか。ゼメキス監督は、ハサウェイのアプローチ力の賜物であると評価する。「アンはグランド・ウィッチにたくさんのユーモアがあることがわかっていたけど、魔女らしい話し方や動き方もとてもよく理解していたんだ。そしてなにより、常にとても邪悪じゃなければいけないということを理解していたんだと思う。だから彼女の演技には真実味があり、それがキャラクターをとても説得力のあるものにしているのだと思うよ」。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズで世界的ヒットメイカーの仲間入りを果たし、『フォレスト・ガンプ/一期一会』でアカデミー賞作品賞を受賞。その後もスリリングなサスペンスから心温まるヒューマンドラマ、CGアニメーションなどあらゆるジャンルを網羅してきたハリウッド随一の職人監督であるゼメキス監督。
そんなゼメキスの唯一無二の作品世界を盛りあげているのは、『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』(84)以降すべての作品でタッグを組んできた作曲家のアラン・シルヴェストリの存在にほかならない。
「もう35年くらいになるか、僕たちはすべての映画で一緒に仕事をしてきた。だからもうあまり話さなくても理解しあえる関係なんだ(笑)。でも作業の時には、僕は役者に話すように彼と話すようにしている。ある特定の瞬間に、観客になにを感じてほしいかについてを話すんだ。音楽については話さない。なぜなら僕は音楽についてなにも知らないからだ」。
その長年の共同作業で培われた厚い信頼関係によって作りあげられた音楽は、時にコミカルに、また時に感動的に本作の世界観を彩っていく。ハサウェイやアカデミー賞女優オクタヴィア・スペンサーらの演技、色鮮やかでポップな衣装や美術はもちろん、劇中の音楽にも注目しながら、予想外の展開が次々と巻き起こる痛快なファンタジー世界を堪能してほしい。
文/久保田 和馬