【今週の☆☆☆】福田雄一監督作『新解釈・三國志』、国際映画祭9冠に輝く『Away』など、週末観るならこの3本！
MOVIE WALKER PRESSスタッフが、週末に観てほしい映像作品3本を(独断と偏見で)紹介する連載企画。今回は、12月11日からの公開＆配信作品をピックアップ。福田雄一監督＆豪華キャスト陣が笑わせまくる話題作、ラトビア発、たった1人で作られた話題のアニメーション、メリル・ストリープ、ニコール・キッドマンら出演によるNetflixのミュージカル大作など、バラエティ豊かな3本がそろった！
福田組ファン感謝祭!? 大人の悪ふざけ感が満載のエンタメ…『新解釈・三國志』(公開中)
まさに “「銀魂」×「今日俺!!」×「勇者ヨシヒコ」 全員集合!!”。三國志ファンそっちのけで、福田組ファン感謝祭と化したエンターテイメント。大作らしい豪華なセットと衣装で供されるのは、力の抜けた演技といい感じの笑い。福田組ファミリーが役柄を生かし、福田組の風神・雷神、ムロツヨシと佐藤二朗、さらに竜神と言われる賀来賢人の三大神に続けとばかりに次々とボケをかましまくる。主演の大泉洋は得意のボヤキを連発し、これが初めての福田雄一作品とは思えぬ、実にリラックスしたムード。裏腹に福田組初参戦の岩田剛典、岡田健史は「イケメンさ」「フレッシュさ」が完全いじられ対象で、困惑している様子も初々しい。ここでしか見られないテンションの俳優たちのオンパレード。エンディングを締めくくる福山雅治の主題歌がこれまた不似合いなほどゴージャスで、「大人の悪ふざけ」感をいっそう盛り上げる。(映画ライター・髙山亜紀)
孤島に不時着した少年はどこへ向かうのか…『Away』(公開中)
ヨーロッパの小国ラトビアから届いた、驚くべきアニメーション。1994年生まれの若き新鋭ギンツ・ジルバロディスが3年半の歳月を費やし、たった一人で本作を作り出したのだから、それだけでも驚きに値する。飛行機事故をたったひとり生き延び、孤島に不時着した少年の物語。正体不明の巨人に追いかけられながら、見つけたバイクを駆って地図を頼りに目的地を目指す彼のゴールとは？ 砂漠から森林、岩山、雪山と、島は風景を変えるが、そこに宿るビジュアルのパワーは圧倒的に美しい。巨人やラストシーンの意味を問う思索性も秀逸。セリフが一切ない、詩的なビジュアル世界に何を見るか? 体験して、驚いてほしい。(映画ライター・有馬楽)
多様性へのアピール、2020年らしいミュージカル映画…『ザ・プロム』(公開中)
「Glee/グリー」などのクリエイターとして知られるライアン・マーフィーが、得意のミュージカルで才能を全開にした監督作。オリジナルの舞台がトニー賞で作品賞ノミネートされているだけあって、曲はハイレベル。各ナンバーの振付や、映像のアングル＆編集は、ミュージカル映画の王道という印象だ。インディアナ州の女子高生エマが、同性カップルでプロムへ行くと決めたことで、PTAらが猛反対。プロム自体が中止の方向となり、校内の大騒動へ発展する。そんなエマの状況に立ち上がったのは、ブロードウェイの俳優たち。メリル・ストリープ、ニコール・キッドマンらが舞台スターの役で圧巻の歌とダンスを披露するなか、エマ役、ジョー・エレン・ペルマンら新星たちのみずみずしいパフォーマンスに素直に感動してしまう。ミュージカルにまつわる数々のネタをちりばめてマニア心をくすぐりながら、多様性への強烈なアピールを、軽快でゴージャスなノリで楽しませる。これはまさに、2020年らしいミュージカル映画！（映画ライター・斉藤博昭）
週末に映画を観たいけれど、どの作品を選べばいいかわからない…という人は、ぜひこのレビューを参考にお気に入りの1本を見つけてみて！
構成/サンクレイオ翼
