佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊が語り合う、コロナ禍で感じた“サイレント・トーキョー”の恐怖

「少ない出番の中で“高倉健さん”にならなければならないと思った」(佐藤)

石田「クリスマス・イブの日に爆破予告が起こったとき、東京に住んでいる人々がそれぞれどうしているかを描く群像劇なので、俳優が一同に介する場面が少なかったんですよね」

西島「佐藤さんと絡む場面はわずかでしたが、やっぱり存在感が圧倒的で、佐藤さんが演じる朝比奈という人物の信念みたいなものがひしひしと伝わってきて、身が引き締まる思いでした」

佐藤「この映画を怪作にするにはどうしたらいいかを考えた時、僕は少ない出番のなかで“高倉健さん”にならなければならないと思ったんですよ。主人公としての責任感みたいなものかな」

石田「そんな佐藤さんと一緒の場面は、お芝居としては真剣な場面でも、佐藤さんと同じ空間にいられるだけでうれしくなってしまいます」

佐藤「僕は西島くんとは2本目の作品で、ゆり子さんは前から知っているけれど、ふたりとも好きな俳優なので、短いながら一緒に演じることを楽しみましたが、もうちょっと一緒にやりたかったね(笑)]

西島「佐藤さんと石田さんのシリアスなシーンは見応えがあって、演じていながら見入ってしまいました。僕は事件を追う刑事で、僕の視点で観客の皆さんに犯人は誰か？を考えながら観てもらうような役割なんですね。僕もそうでしたけれど、観客の皆さんはストーリーを追うにつれ驚きの連続なんじゃないかなと思います」

佐藤「99分、ノンストップのエンタテインメント作なんだけれど、都会のなかでそれぞれバラバラに過ごしている人たちが、話を紐解いていくと、じつは関係があって…と意外と人間関係が複雑だよね。その分、2回や3回と観る楽しみがある作品になっていると思う」

石田「西島さんとはこれまで夫婦の役を演じることが多かったですが、今回は違う設定で、それが新鮮でした」

西島「そう、これまで石田さんとは何度も夫婦の微妙な心情を演じたり、コミカルな場面を演じたりしてきましたが、今回は全然違いますよね。また、中村倫也さん、広瀬アリスさん、井之脇海さん、勝地涼さんなど若い俳優さんたちも魅力的な方ばかりで刺激になりました」

佐藤「僕は中村倫也くんとの絡みのとき、あえて目を見ず突き放したように演じてみたけれど、彼もうまく反応してくれていたと思う」

西島「中村さんは僕とのシーンでも独特の空気を放っていましたね」