【今月の寅さん:12月編】長渕剛出演作や名優、三船敏郎&淡路恵子の共演作も!「男はつらいよ」シリーズ3作品が放送!
山田洋次監督の代表作で、渥美清演じる車寅次郎こと“寅さん”が、毎回温かい笑いと感動を届けてくれる国民的映画『男はつらいよ』。現在、BSテレ東ではシリーズ計49作品の4Kデジタル修復版を毎週土曜日に放送する「土曜は寅さん!4Kでらっくす」を展開中で、12月には第36~38作が登場する。さて、今月の寅さんはどんな騒動を巻き起こすのか?
寅さんが離島のマドンナ先生に恋をする!『男はつらいよ 柴又より愛をこめて』(85)<12月12日放送>
タコ社長(太宰久雄)の娘、あけみ(美保純)が夫婦ゲンカの果てに家出。伊豆の下田にいることがわかり、旅から戻ってきた寅次郎がその足で彼女を迎えにいく。あけみはすぐに見つかるが、柴又へ帰ることを嫌がったため、海の向こうに見える式根島まで一緒に足を運ぶことにする。島へ渡る船の中、寅次郎は島の小学校の同窓会に出席する11人の青年に出会い、彼らを迎える“島のマドンナ”真知子先生(栗原小巻)の美しさに一目惚れしてしまう。寅次郎は教え子になりすまし、同窓会に参加するのだった…。
壷井栄の小説を木下惠介監督が映画化した『二十四の瞳』(54)へのオマージュとして、島の先生と同窓生たちのエピソードが展開される。第4作『新・男はつらいよ』(70)以来、栗原小巻が2度目のマドンナを演じる。個性派の川谷拓三や、下田の寅さんの仲間である渡世人を演じ、これがシリーズ初出演となった笹野高史など、名脇役たちの演技も光る。
寅さんが若い男女の恋を見守る『男はつらいよ 幸福の青い鳥』(86)<12月19日放送>
かつては炭鉱で栄えた九州の筑豊にやって来た寅次郎。贔屓にしていた旅芸人一座を訪れるが、劇場は廃れ、座長も亡くなっていた。お線香をあげるため、座長の一人娘で一座の花形だった美保(志穂美悦子)のもとを訪れるが、彼女は旧炭鉱住宅でひっそりと暮らしていた。その境遇に同情した寅次郎は、葛飾柴又のとらやに遊びに来るように言って立ち去っていく。やがて美保は上京し、ひょんなことから看板職人の健吾(長渕剛)と知り合う。その後、彼女は寅次郎の紹介で柴又のラーメン屋で働くようになり、健吾との交際も続けていく。
美保と同じく、九州から出てきた芸術家志望の健吾役で長渕剛が登場。芸大受験に挫折し、コンプレックスの塊のような健吾は、シリーズ屈指の異色のキャラクターだ。美保と彼とのストーリーが中心となるため、寅さんの活躍は少し抑えめ。
無骨で不器用な男を寅さんがサポートする『男はつらいよ 知床慕情』(87)<12月26日放送>
北海道の知床を訪れた寅次郎は、無骨だが誠実な老獣医、順吉(三船敏郎)と出会い、意気投合して居候することになる。彼には、スナック「はまなす」の女将をしている悦子(淡路恵子)という想い人がおり、相思相愛にもかかわらず、気持ちを伝えられずにいた。そんなある日、順吉の一人娘、りん子(竹下景子)が結婚に失敗して帰ってくる。一人だと娘とうまくコミュニケーションがとれない順吉のために、寅次郎はそのまま滞在を続ける。一方、悦子が店を畳んで、故郷の新潟に帰ろうとしていることがわかり…。
日本を代表する名優、三船敏郎が順吉役で出演。不器用な彼と、『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』(83)以来シリーズ2度目の出演となる竹下景子演じる娘、りん子との仲を寅さんが円滑にとりもとうとする姿がほほえましい。悦子役の淡路恵子は黒澤明監督作『野良犬』(49)でも主演の三船と共演しており、2大スターのかけ合いは公開当時大きな話題になった。
文/サンクレイオ翼