あの名作にも影響された!?『新感染半島』とあわせて観たい映画たち
世界的に大ヒットを記録した韓国ゾンビ映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』の4年後を描く『新感染半島 ファイナル・ステージ』が2021年1月1日(祝)より公開(一部劇場では12月25日より特別先行上映)される。実は本作、過去の様々な作品からの影響を感じられたり、オマージュと思しきシーンも散見されるのだ。ここでは、そんな『新感染半島』に影響を与えたであろう作品の数々をご紹介。これらを観ておくと、より映画が楽しめるかも?
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(15)
『新感染半島』を鑑賞して、まず最初に思い浮かぶのがこの作品だろう。ゾンビ映画で『マッドマックス』!?と面くらいそうになるが、観れば誰もが納得するはず。『新感染半島』のウリになっているのは超絶カーチェイスシーンであり、ならず者の武装集団からひたすら車で逃げる姿はまさに『~怒りのデス・ロード』そのもの。場面によっては『ワイルド・スピード』シリーズすら想起させるド派手なカーアクションが展開するのだ。
さらに、感染の脅威にも動じず戦う母親や、超絶ドライビングテクを持つ少女など、“強い女性たち”が登場し、暗い過去を抱えた主人公が手を貸すという構図も近いと言える。ほかジョージ・ミラー監督の『マッドマックス』シリーズでは、『マッドマックス2』(81)からの影響も感じられる。
『ゾンビ』(77)
言わずとしれたゾンビ映画のゴッドファーザー、ジョージ・A・ロメロ監督による記念碑的作品。これまで多くのゾンビ映画に多大なる影響を与えてきたマスターピースだが、それは『新感染半島』も例外ではない。『ゾンビ』は郊外のショッピングセンター(モール)が主な舞台となり、「ゾンビになっても無意識のうちにモールへ集まる人間たち」という、大量消費社会へのアンチテーゼとして風刺のきいた作品となっていた。
本作以降のゾンビ作品ではモールがすっかり“お約束”の舞台となるのだが、『新感染半島』にもモールが登場する。ゾンビに支配され荒廃した半島で、「631部隊」というならず者集団がモールをアジトとし、コミュニティを築いているのだ。
そしてクライマックスからラストにかけても必見。『ゾンビ』は、主人公ら4人がモール内のゾンビを駆逐し優雅に生活していたところへ、バイクに乗った略奪者の集団が乱入し、ゾンビと三つ巴の激闘へとなだれ込む。4人は略奪者たちを撃退し、ヘリでの脱出を試みるものの…ネタバレとなるためここでの言及は避けるが、どこがどう似ているのか、ぜひ『新感染半島』と見比べてみてほしい。
『ランド・オブ・ザ・デッド』(05)
『ゾンビ』のロメロ監督が約20年ぶりにメガホンをとった作品。『ゾンビ』が、ゾンビ誕生間もない混乱期を描いていたのに対し、こちらはある程度ゾンビが日常化した“ポストアポカリプス”的な世界が描かれており、歴代ゾンビ映画の中で『新感染半島』と最も近い感触の映画だろう。
劇中では、自我に目覚め集団を統率するゾンビ、学習し道具を使うゾンビなどが登場するが、彼らの恐ろしさよりも際立つのが、街で暮らす人間たちの醜さだ。ゾンビを遮断する電気柵で囲まれた街では、一部の富裕層がタワーで優雅に暮らす一方で、貧困層はスラムの劣悪な環境での暮らしを強いられており、富を独占する者の卑劣さが徹底して描かれる。文明が崩壊してもなお“持つ者”と“持たざる者”に二分されてしまうという、格差社会の理不尽さは『新感染半島』にも通じるテーマだ。
また、傭兵部隊が花火を打ち上げてゾンビの気をそらす陽動作戦のように、『新感染半島』では照明弾を打ち上げるシーンも。さらにスラムの地下では「檻の中に2体のゾンビと人間を放り込み、どちらのゾンビが人間を殺せるか賭ける」という闇ゲームが繰り広げられているが、これによく似たゲームも『新感染半島』に登場するので注目を。