映画ニュース 2020/12/25 13:00

あの名作にも影響された!?『新感染半島』とあわせて観たい映画たち

『ザ・ロード』(09)

文明が崩壊したアメリカで、父子が南を目指し旅をする(『ザ・ロード』)写真：SPLASH/アフロ

コーマック・マッカーシーによるピューリッツァー賞を受賞したベストセラー小説を、ヴィゴ・モーテンセン主演で映画化した衝撃作。生物が死に絶え、自殺とカニバリズムが横行する文明崩壊後の近未来を舞台に、人としてのモラルを失わず流浪する父と息子の姿を描いている。

『新感染半島』のヨン・サンホ監督は、もともと前作『新感染』でも『ザ・ロード』からの影響を明かしており、“滅びゆく世界での父と子の絆”がテーマになっていたが、作風の異なる今作でも根底に流れるメッセージは同じだ。家族を守れなかった主人公以外に老兵や幼い姉妹など異なる世代を登場させ、このような世界でも人間の心を失わずにいられるか？次の世代になにを残せるのか？を問いかけている。

『ニューヨーク1997』(81)

カート・ラッセル演じるスネーク・プリスキンが危険なマンハッタン島に潜入する(『ニューヨーク1997』)[c] 1981 STUDIOCANAL S.A. All rights reserved. ■『ニューヨーク1997』価格　Blu-ray￥4,800＋税　発売中発売元・販売元：株式会社ＫＡＤＯＫＡＷＡ

鬼才ジョン・カーペンターによるカルト的人気を誇る1本。名作ゲーム「メタルギア」シリーズにも影響を与えたことで知られている。ニューヨーク・マンハッタン島が凶悪犯を収容する巨大な監獄となった近未来で、拉致された大統領を救出するため、収監される予定だった男を単身潜入させるというストーリー。

ヨン監督はインタビューで「続編の『エスケープ・フロム・L.A.』(96)は観たけど、『ニューヨーク1997』は観ていない」と語ってはいるが、凶悪な敵がうごめく閉ざされた廃墟の街に潜入する、脱出までの時間制限がある…という設定など、全体的なトーンは似通っている。「631部隊」の基地の描写も本作そっくり？

「AKIRA」「ドラゴンヘッド」

最後に、ヨン監督自身が、世界観に多大な影響を受けたと明かしているのが、2つの日本の漫画だ。大友克洋の「AKIRA」(映画ではなく漫画版)からは、ネオ東京にアメリカの特殊部隊が潜入するエピソードなどを取り入れたという。

妻夫木聡らの出演で2003年に実写映画化もされている望月峯太郎の「ドラゴンヘッド」は、突如廃墟となった世界でサバイブする中学生たちを描いた作品。極限状況に追い込まれた人間たちのドラマはもちろん、緻密に書き込まれた荒廃した世界の重苦しい描写が『新感染半島』でのビジュアルに影響を与えていることがわかる。

特にこの2作は、もともとアニメーション監督としてキャリアをスタートさせ、日本のアニメや漫画へのリスペクトを公言しているヨン監督らしさが伝わるので、ぜひ『新感染半島』とあわせてチェックしてみてほしい。

文/月刊シネコンウォーカー編集部