ゆくゾンビ、くるゾンビ…話題作と共に検証する、ゾンビブームの移り変わり

コラム

ゆくゾンビ、くるゾンビ…話題作と共に検証する、ゾンビブームの移り変わり

新たな風を吹き込んだ、韓国発“くるゾンビ”『新感染半島 ファイナル・ステージ』

『新感染半島 ファイナル・ステージ』は2021年1月1日(金)より公開
『新感染半島 ファイナル・ステージ』は2021年1月1日(金)より公開[c]2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

「ウォーキング・デッド」が築いた世界的なゾンビブームのなか、近年熱い盛り上がりを見せているのが、韓国のゾンビ作品だ。時代劇×ゾンビというユニークな設定のNetflixドラマ「キングダム」シリーズや、貧しい一家がゾンビをビジネスに利用しようとするコメディ『感染家族』(19)など、オリジナリティあふれる作品を次々と生みだしている。

なかでもブームの起爆剤となったのが、2016年の『新感染 ファイナル・エクスプレス』。釜山行きの高速鉄道という限定的なシチュエーションに、ハリウッドばりのハードで本格的なアクション、自分だけ生き残ろうとする人間の汚さ、さらに主人公が娘を守るために成長していくという家族を軸にしたエモーショナルな人間ドラマが盛り込まれた本作。


ギレルモ・デル・トロやイーライ・ロス、エドガー・ライトにジェームズ・ガンら、そうそうたる監督たちが絶賛コメントを寄せ、ハリウッドリメイクも決定しているなど、抜群に質が高く、また泣けるゾンビものという新しさを持った傑作となった。

カン・ドンウォン演じる主人公のジョンソクは、家族を救えなかった元軍人というキャラクター(『新感染半島 ファイナル・ステージ』)
カン・ドンウォン演じる主人公のジョンソクは、家族を救えなかった元軍人というキャラクター(『新感染半島 ファイナル・ステージ』)[c]2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

そして2021年1月1日(金)から、続編となる『新感染半島 ファイナル・ステージ』が公開される。感染爆発によりわずか1日で国家が崩壊してから4年、香港に流れ着いた元軍人ジョンソク(カン・ドンウォン)は、家族を救うことができなかった過去を背負い、裏社会で廃人のような生活を送っていた。

そんな彼のもとに、ロックダウンされた半島から大金を積んだトラックを見つけて運んでくるという闇仕事が舞い込んでくる。渋々仕事を引き受けたジョンソクだったが、半島に足を運ぶとそこには荒れ果てた祖国が広がっていた。ゾンビに加え、生き延びていた人間の集団に襲われるなか、ジョンソクは1台の車に助けられる。

『ワイスピ』さながらのド迫力なカーチェイスも炸裂!(『新感染半島 ファイナル・ステージ』)
『ワイスピ』さながらのド迫力なカーチェイスも炸裂!(『新感染半島 ファイナル・ステージ』)[c]2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

本作はアクション映画の方向に思いきり舵を切ることで前作との差別化を図っており、一言でいうなら、「新感染」×「マッドマックス」×「ワイルド・スピード」と言ったテイストだ。荒れ果てた半島にはいっさいの秩序がなくなっており、ゾンビと人間を追いかけっこさせて楽しむようなイカれた集団が支配。そんな集団と改造車での激しいカーチェイスを繰り広げるなど、あらゆるアクションがてんこ盛りだ。

荒れ果てた半島には、まだ人々が暮らしており、主人公は行動をともにすることになる(『新感染半島 ファイナル・ステージ』)
荒れ果てた半島には、まだ人々が暮らしており、主人公は行動をともにすることになる(『新感染半島 ファイナル・ステージ』)[c]2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

半島ではイカれた暴徒たちが支配し、トンデモない娯楽を楽しんでいた(『新感染半島 ファイナル・ステージ』)
半島ではイカれた暴徒たちが支配し、トンデモない娯楽を楽しんでいた(『新感染半島 ファイナル・ステージ』)[c]2020 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILMS.All Rights Reserved.

また、エモーショナルな物語もしっかりと描かれており、かつて家族を救えなかった主人公が、自らを奮い立たせて決死のバトルに挑む展開は涙腺崩壊必至!ハリウッド的な映像の迫力と韓国ゾンビものの個性をうまくハイブリッドさせた作品となっている。

これまでにない大型プロジェクトが始動!“くるゾンビ”「君と世界が終わる日に」

さらにここ日本でも、地上波ゴールデン枠の連続ドラマで初めてゾンビを題材とした「君と世界が終わる日に」が2021年1月から放送開始される。本作は日本テレビとHuluが共同製作を手掛けており、Season1を日本テレビで放送後、Season2をHuluで配信するという大型プロジェクト。

自動車整備工の間宮響(竹内涼真)は、同棲中の来美くるみ(中条あやみ)にプロポーズするつもりだったその日に、謎のトンネル崩落事故に巻き込まれ閉じ込められてしまう。数日後、なんとかトンネルを脱出した響の前に広がっていたのは、不気味に人気のない荒廃した街。そして、ようやく出会えた人間は、生き血を求めて人間を食らう恐ろしい化け物になっていた…。

物語は、ゾンビサバイバル、ラブストーリー、ミステリーという3つの軸が絡み合うものとなっており、日本のテレビドラマ史上、いまだかつてないプロジェクトの行方から目が離せなくなってしまうことだろう。

年末年始は、長年シーンを牽引してきた“ゆくゾンビ”「ウォーキング・デッド」と、新たな魅力を持ち込んだ“くるゾンビ”『新感染半島 ファイナル・ステージ』や「君と世界が終わる日に」をチェックして!除夜の鐘と共に現れてはまた去ってゆく、腐った奴らの悲喜こもごもに想いをはせながら、ブームの移り変わりを感じてみてはいかがだろうか。

文/サンクレイオ翼

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