土屋太鳳が振り返る、役者業の“サバイバル”「『生き残りたい』と思って、今日までやってきた」|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
土屋太鳳が振り返る、役者業の“サバイバル”「『生き残りたい』と思って、今日までやってきた」

インタビュー

土屋太鳳が振り返る、役者業の“サバイバル”「『生き残りたい』と思って、今日までやってきた」

映画や舞台、ドラマ、CM、バラエティ番組…休むことなく活躍し続ける人気実力派女優の土屋太鳳がこのたび、大型プロジェクト「今際の国のアリス」(Netflixにて全世界独占配信中)にチャレンジした。MOVIE WALKER PRESSでは、配信開始にあわせて土屋を直撃。“サバイバル”を題材にした本作で感じた、役者業との共通点を振り返ってくれた。

アリス(山崎賢人)とウサギ(土屋)は、力を合わせてゲーム・クリアの道を模索していく
アリス(山崎賢人)とウサギ(土屋)は、力を合わせてゲーム・クリアの道を模索していく[c]麻生羽呂・小学館/ROBOT

麻生羽呂の人気漫画を実写化した本作は、人生に夢や生き甲斐を見出せずに生きてきた青年、アリス(山崎賢人)がある日突然、無人の渋谷に飛ばされてしまうところから幕を開ける。そこは、命がけの“鬼ごっこ”や“かくれんぼ”など、過酷な「げぇむ」をクリアしなければ生き残れない「今際の国」だった。アリスはげぇむのなかで、運動神経抜群のクライマー、ウサギ(土屋)と出会い、2人は力を合わせてゲーム・クリアの道を模索していく。


監督を務めたのは、2015年の映画『図書館戦争 THE LAST MISSION』でも土屋と組んだ佐藤信介。共演者には、今回が4度目の顔合わせとなる盟友・山崎。さらには桜田通など、気心の知れたメンバーとの“再会”だけに、充実の時を過ごせたようだ。

「今回の共演者は、同世代で頑張ってきた人たち同士でした。自分たち自身の生きてきた時間を、物語や役に重ね合わせて共有できる、そしてお互いに共感を持てる雰囲気の現場だったなと思います。特に賢人くんは、座長としてのたくましさや引っ張ろうと思う意志、『何回でもやってやる』という姿勢がすばらしかったです。そうした賢人くん自身の覚悟やお芝居への向き合い方も、アリスという役に生かされているように感じました」。

「ずっと『生き残りたい』と思って、今日までやってきた」

同世代の土屋と山崎は、ともに切磋琢磨してきた間柄だ
同世代の土屋と山崎は、ともに切磋琢磨してきた間柄だ[c]麻生羽呂・小学館/ROBOT

土屋は続けて、「本作って、『生き残る』を描いたサバイバル・ゲームの物語じゃないですか」と切りだした。ことさら「生き残る」という部分に力を込めて。そこには彼女が心に秘めた、ある強い想いがあった。

「私たち役者も、アリスやウサギと同じように、サバイバルしなければならない存在です。私自身も、オーディションをたくさん受けて、なんとかここまで生き残ってこられて…。ただこれから先、自分がどういう風に役者を続けられるかも、どれくらいお仕事をもらえるかもわからない。そんななかで、一つ一つお仕事をつなげていきながら、ずっと『生き残りたい』と思って今日までやってきました」。

「賢人くんやみんなとも、昔から『頑張って芸能界で生き残ろう』と話していました」と当時を振り返る彼女。思えば、山崎との初共演は、女優活動初期の2012年に放送されたテレビドラマ「黒の女教師」。ともに切磋琢磨してきた間柄だけに、達成感もひとしおだろう。「それぞれが頑張ってきた先で、この作品で集まることができた。すごく感慨深かったです」と笑顔を見せる。

「誰かが弱さを乗り越えようとする姿に、人は惹かれていく」

強くあろうとするウサギの“弱さ”を、土屋は繊細に表現した
強くあろうとするウサギの“弱さ”を、土屋は繊細に表現した[c]麻生羽呂・小学館/ROBOT

また、土屋が今回演じたウサギは、登山家の父が不可解な死を遂げたという壮絶な過去を背負った人物。いまでこそ、まっすぐで明るいイメージがある土屋だが、キャリア初期は特に、テレビドラマ「鈴木先生」や『トウキョウソナタ』(08)、『赤々煉恋』(13)など、シリアスな作品に多数出演してきた。そういった意味でも、“原点”を感じさせるキャラクターといえるのではないか。劇中の彼女を見ていると、そんな思いが去来する。

「ウサギは父を亡くしていて、心にぽっかり穴が空いている状態。それを止めるために強くあろうと振る舞うんですが、その裏には“弱さ”がある。演じるときも、頭のなかでは『苦しい』とか『弱い自分はどうしたらいいだろう』という気持ちが、たくさん入っていました」。撮影当時を回想しつつ、そう語る土屋。役に“弱さ”を見つけて、シンクロしていく――。その方法論は、彼女がこれまでの役者人生で培ってきたものだという。

「どんなに明るい役でも、弱いところをしっかり見つけないと、なんでその人が明るいのかが分からないじゃないですか。役に『立体感』を持たせるためにも、弱さを探す部分はありますね。本作もそうですが、誰かが弱さを乗り越えようとする姿に、人は惹かれていくと思うんです。人の変化や成長を感じさせること、それを観てくださる方と共有することが、私にとって『演じる』ことの大きな魅力です」。

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