土屋太鳳が振り返る、役者業の“サバイバル”「『生き残りたい』と思って、今日までやってきた」

インタビュー

土屋太鳳が振り返る、役者業の“サバイバル”「『生き残りたい』と思って、今日までやってきた」

「いままでの経験が全部つながって、自分の演技になっている」

「いままでの経験が全部つながっている」と、周囲への感謝を明かした
「いままでの経験が全部つながっている」と、周囲への感謝を明かした撮影/興梠真穂

『人狼ゲーム ビーストサイド』(14)など、サバイバルものの出演経験も豊富な土屋。「なにか前世であったのか…とも思いつつ(笑)、『命の大切さに気づく、気づかされる』役目は、役者としてのひとつの使命なのかなとは感じています。賢人くんとも『自分たちは、なにを伝えるためにこういった作品をやるのか』を話しましたね」と、本作に出演したことで、役者としての使命を再認識したようだ。彼女自身も、これまでの役者人生が凝縮されたような、特別な想いを感じている様子。

「そこまで多くのお仕事をもらえていない時期にダークな役や口が悪い役をやらせていただいていたからこそ、いま明るい役を演じる時にも、優しさのなかに暗いものを入れたり、裏の気持ちを込めたりできるようになったのかなと思います。前半戦も明るい役ばっかりだったら、シリアスな役に対して『どうしよう…』と思っちゃっていたかと思いますが、一回そっちの道を通っているので、『この役が明るい理由は?』を考えるようになりました。例えば『本当はつらいけど明るく振舞っている』とわかれば、役がどんどん立体的になっていく。そういった意味では、いままでの経験が全部つながって、自分の演技になっているんだと思います」。

「トンネル内を走るシーンは、必死でした」

Netflixならではの規模で、大掛かりなアクションに挑んだ「今際の国のアリス」
Netflixならではの規模で、大掛かりなアクションに挑んだ「今際の国のアリス」[c]麻生羽呂・小学館/ROBOT

女優・土屋太鳳の現時点での集大成的な側面を持ちつつ、新たな挑戦でもあった「今際の国のアリス」。撮影現場では、Netflixならではの制作体制におどろかされたそうだ。
「撮影期間が5か月あって、しっかり睡眠やご飯の時間をとったスケジュールだったので、『スタッフやキャストのことを、とても大事にしてくれているんだな』と感じました。また、言葉や態度について学ぶリスペクト・トレーニングもあって、改めて国際的な表現の場だと実感しましたね」。

“世界基準”の作品作りを肌で味わった土屋だが、ハードさにおいても、「これまでとは違う体験をしました」と振り返る。
「トンネル内を走るシーンがあるのですが、距離の長さとカメラの動く速さが尋常じゃなくて、必死でしたね。普段の撮影だと『走る速度を落としてください』と言われることもあるのですが、今回は初めて『カメラに追いつけないから待って!』と思いました(笑)。いまでも高速道路を車で通ったときなどは、撮影の記憶がよみがえって『こんなところを走るもんじゃないな』と思います(笑)。大変でしたが、貴重な体験をさせていただきました」。


さらに「この作品では、これまでにない規模のグリーンバックでの撮影にも挑戦しました。ヒョウと戦うシーンがあるのですが、普通に演じるだけだと完成した映像に負けてしまう。ちょっと大きめに表現して、映像とバランスが取れるように心がけました」と明かしてくれた土屋。

【写真を見る】凛とした眼差しの土屋太鳳、タンクトップ姿で挑んだ、決死のアクションシーン
【写真を見る】凛とした眼差しの土屋太鳳、タンクトップ姿で挑んだ、決死のアクションシーン[c]麻生羽呂・小学館/ROBOT

一連のアクションシーンで目を引くのは、彼女の姿勢の良さだ。必死だったとは言うものの、体幹がブレることなく走りきる部分は、さすが身体能力に定評のある土屋というべきだろう。彼女自身は、クライマーを演じるにあたって、どんな準備を行ったのか?
「クライミングの練習をしたのと、走って飛んで引っかかるアクションがあるので、トレーニングを行いました。プロの方を見ていると、皆さん指や背中の筋肉はすごいけれど、全体的には細く見える方が多い。今回の衣装はタンクトップだったのですが、撮影前に鍛えたこともあり、私が着るとがっしり見えてしまい…。心を広くして観ていただければと思います(笑)」。

茶目っ気も忘れないのが、実に土屋らしい。真面目に、ストイックに、それでいて自然体に――。彼女の“サバイバル”は、この先も続いていく。

取材・文/SYO

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

作品情報へ