金子修介監督、平成ガメラ三部作を語る!令和ガメラにも「やる気十分」
「ガメラの設定を巡って、一時は僕が降板するという話に」
だが新しいガメラを創造して行く過程で製作側と意見の対立が起こり、危うく企画中止になりかけたことがあったという。
「僕たちは通常の生物ではありえない回転ジェットなどを理由付けるために、ガメラを“古代文明が作った生体兵器”にしたんですが、これを製作陣が納得してくれなくて、クランクイン直前に『ガメラが人工物という設定はやめてくれ』と言われたんです。要は『ガメラをロボットにしたくない』、つまりは『大切に守ってきたガメラのイメージが壊すな』と。伊藤(和典)さんの初期の脚本に『ガメラの足から機械のような音がする』という記述があったのは確かなんですが、クランクイン直前での変更はできないと議論になり、一時は僕が降板するという話にまでなりかけました。ガメラにはゴジラとの差別化をするために作った決まりがあって“子供の味方である”とか“空を飛ぶ”といったことなんですが、今回は“子供の味方”を“人類の味方”と拡大解釈してもらい、なんとか大映側の理解を得ることができました」
幾多の困難を乗り越えてきた『G1』だが、重要なシーンが当初の構想から変わっている。ファン仰天の変更点とは。
「実はガメラのデザインも当初とは変わってます。僕らは『G2』や『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(以下『G3』)のガメラのようにいかつい顔つきを考えていたんですが、大映側からガメラの造型を担当した原口(智生)さんに『昭和ガメラのイメージを残したものにしてくれ』と要請があったらしく、優しい顔つきのガメラになりました。
ストーリー上の展開では当初と大きく変わったところがふたつあります。まずギャオスの捕獲場所ですが、最初は関門トンネルに追い込んで捕獲するというアイデアでした。ところが大映が同じ名前だから提携しようとダイエー・グループに持ち掛け、当時ダイエーはダイエー・ホークスを持っていたのでホームである福岡ドームも使えることになったんです。ただ画的にはいいんですが実際に撮るとなると大変で、ドームの開閉部分の位置が欲しい画と逆だったので反転させたり、ドームの実際の開閉には1時間くらいかかるので早回しにしたり、間にモニター画面や職員たちの映像を挟み込んだりしてごまかしています(笑)。
それからギャオスが巣を作るのは、後に宮部みゆきさんの小説『理由』の舞台になる高層マンション、ヴァンダール千住北ニューシティの予定でした。ところが特技監督の樋口(真嗣)さんから『東京タワーにしましょうよ。やっぱり怪獣映画なら東京タワーでしょ!』と言われて変更したんです(笑)。出来上がったものを見たらこれで正解でしたね。やはり東京タワーには華がありますよ」
公開当時、画期的と言いわれたのがオープンセットで組まれたミニチュアや、人間の目線で怪獣を見せる撮影方法だった。
「それまでの怪獣映画はミニチュアセットにいる怪獣の目線で撮っているせいで、怪獣があまり巨大に見えないのが以前から気になっていたんです。なので『G1』では人間の目線で撮ることで巨大さや臨場感を出そうと考えたわけです。それから特撮のミニチュアをオープンセットで撮ったことも大きいと思います。実際、時間も手間もかかるしカメラのセッティングも大変なんですが、ミニチュアが実景に見えてリアリティが出るんです」
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