インタビュー 2021/1/28 11:30

金子修介監督、平成ガメラ三部作を語る！令和ガメラにも「やる気十分」

「伊藤和典さんからの年賀状に『三部作の構想を思いついてしまった』」

そんな画期的怪獣映画を撮った金子監督だが、第1作には観客に気付かれないか不安に襲われたシーンがあったと語る。それは映画という物語を作るクリエイターならではの不安だった。

「ギャオスを追い込んだ福岡ドームに、博多湾から上陸したガメラが向かって行くんですが、なぜガメラが福岡ドームを目指すか、実は説明していないんです。ついさっき福岡ドームに閉じ込められたギャオスの居場所をなぜかガメラが知っている(笑)。(中山)忍ちゃんの『鳥(ギャオス)を追ってるのよ』というセリフでごまかしていますが、論理的にはおかしい。監督としてはそのことに観客が気付いてしまうんじゃないかと、ずっとヒヤヒヤしてました。幸い博多の街を破壊しながら進むガメラと大谷(幸)さんのスリリングな音楽のおかげで気付かれずに済みました」

今でこそ“平成『ガメラ』三部作”と呼ばれているが、当初、金子監督に三部作の構想はなかった。

「1作目を撮ったとき、すでに2作目も作ると決まっていたそうなんですが、1、2作目の評価は高かったものの目標にしていた配給収入10億円に若干届かなくて、『G3』はなかなか制作にGOが出なかったんです。思うような成績があげられなかった理由のひとつには、95年の阪神・淡路大震災の影響もあったようです。残念ながら『G3』も目標に届かず、終わりになってしまいました。なのでもし『G3』が大ヒットしていたら『G4』『G5』と続いていたかもしれません。

三部作については面白い話があって、95年の伊藤さんからの年賀状に『三部作の構想を思いついてしまった。フフフ』って書いてあったんですよ(笑)。後で聞いてみたら『G1』で人類の守護神になり、『G2』でそれが揺らいで、『G3』で人類の敵になる…と。このときはただの伊藤さんの思いつきだったんですが、それが現実となって僕と伊藤さんは苦しむことになるんです(笑)。『G3』で人類の敵なるのはいいけれど、敵になったまま終わらせるわけには行かないので、どうするかずっと考えてました。考えすぎて収拾がつかなくなる瞬間もあったので、『G2』から『G3』まで3年あったのは、今思うと考える時間ができてよかったと思ってます。

『G4』が実現しなかった理由のひとつに『G3』で犠牲者を出しすぎたのもあったようです。『G1』と『G2』では犠牲者をなるべく出さないようにそうとう考えて作っていて、『G1』で決戦地になった東京や『G2』で消滅した仙台も、住民が避難した後なんです。それまで必死に守ってきたのに、なぜか『G3』ではタガが外れて渋谷を壊滅させ、何千何万の犠牲者を出してしまった…」

『G1』と『G2』はなるべく犠牲者が出ないよう考えてつくられていた！『ガメラ2 レギオン襲来』[c]KADOKAWA 日本テレビ博報堂DYメディアパートナーズ富士通日販/1996

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『ガメラ』ファンの間で三部作最大の議論となるポイントが、『G3』でイリスを倒した満身創痍のガメラのもとへ無数のギャオスハイパーが集結してエンドタイトルが出るラスト。その後どうなるのか。なんと、当初はその“続き”があったのだ！

「僕の中であのラストは、ガメラの勝利への予感と終末への不安のなか、『GAMERA:1999』とタイトルを出すことで収束させたという思いでした。ファンの方もきっとガメラが勝つとわかってくれるだろうと思ったんです。実は当初の案には“その後”もありました。噺家の林家しん平さんが自主制作した『ガメラ4 真実』と同じような展開を考えていたんです。空にいる無数のギャオスの中にガメラが飛んでいって、究極の攻撃で一瞬にしてギャオスを殲滅する。けれど京都一帯も火の海になって全滅してしまう。ガメラはその中を去っていく…。ところがそんな予算もないし、大災害を引き起こしたまま終わっていいのか…という話にもなって、この案は早々になくなりましたね」

「令和『ガメラ』は、お話さえいただければ僕はいつでもやる気十分」