万事屋と『銀魂』の15年を語る5000字。杉田智和、阪口大助、釘宮理恵が見つめる“祭りのあと”

インタビュー

万事屋と『銀魂』の15年を語る5000字。杉田智和、阪口大助、釘宮理恵が見つめる“祭りのあと”

「食事に行く際も、真選組の3人が加わると“家族”みたいになるんです」(釘宮)

多くの名キャラクターがひしめき合った15年間
多くの名キャラクターがひしめき合った15年間テレビアニメ「銀魂」より

――本インタビューの前編では、真選組のお3方に取材させていただいたのですが、15年の集大成ということですので、真選組メンバーへのメッセージをお願いいたします。感謝、愚痴、告白、なんでもOKです。

阪口「あっちはどんなこと話してました?」

――万事屋メンバーへの感謝と杉田さんへのお詫び、あとは皆さんがよく行かれるという“キャベツのお店”の思い出です。

阪口「ちょっと待って!15年やってきて、思い出がキャベツのお店?(笑)」

杉田「ここ数年の話だね。昼間は行ったことなかったから、今度行ってみようか?」

釘宮「この3人で行くとうれしはずかしみたいな気分になりますが、あの3人が加わると、家族みたいになるんです。沖田総悟役の鈴村(健一)さんが『ちょっと味見させて』とみんなのを少しずつ食べたりして」

杉田「土方十四郎役の中井(和哉)さんなんかは、おもしろがって『やっぱり僕はマヨネーズをトッピングして…』とか言い出すんです。キャラ守らなくていいですよ!ってツッコんだりしてね(笑)」

真選組の存在を、「彼らだけでも話が進むくらい個性が強い」と表現した阪口
真選組の存在を、「彼らだけでも話が進むくらい個性が強い」と表現した阪口テレビアニメ「銀魂」より

阪口「真選組ってこの作品では特殊なポジションで、彼らだけでも話が進むくらい個性が強い存在だったなと思います。三者三様でおもしろいし、中井くんが関西人だから、ツッコミのひとつひとつに謎のキレがあったのもよかった(笑)」

杉田「似てる二人は喧嘩する、って言葉がありますが、僕は中井さんのお芝居がすごく好きで、敵わないなと思う瞬間がしばしばありました。イベントで銀時と土方を入れ替えて演じたことがありましたが、中井さんが演じられた銀時が異様にカッコよかったのをいまでも覚えています。僕が一番理想的だと思う力の抜き方でした。でも、この作品では僕が銀時で、中井さんは土方。中井さんがさらりと理想の銀時を演じてしまわれたことにある種の恐怖は感じたけれど、それがうれしくもあって。近藤勲役の千葉(進歩)さんはデビュー作でご一緒しましたし、鈴村さんは節目節目でご一緒している。真選組のメンバーには感謝したいことがいっぱいあります」

「どうやって食らいついていこうか、ということばかり考えていた15年間でした」(杉田)

万事屋の日常は、これからも続いていくはずだ!
万事屋の日常は、これからも続いていくはずだ![c]空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

――貴重な舞台裏エピソードをありがとうございます。最後に、アニメ「銀魂」は皆さんにとってどんな存在でしたか。

杉田「『銀魂』で自分自身が変わっていくというよりは、どうやって食らいついていこうかということばかり考えていました。銀時は本音が見えないからこそ、自分から探っていく必要があるキャラクター。背中と魂で語る男ではあるのですが、言葉がないから演じる側は不安でしょうがないんです。それが芝居として形になっていればと思いながら、15年近く演じてきた結果が最後の映画につながっているのならうれしいです」

阪口「15年ですからね。銀時の中の人がきばりすぎていては、この空気は出なかったと思っています。杉田くんが作り上げた銀時の中の人としての立ち位置が、この作品を良くしたと僕は思っています。でもそれを杉田くんは絶対に口にしませんし、態度で出すということもなかったけれど、銀時として引っ張ってくれていた気がします。


だからこそ万事屋3人はまとまれたし、スタジオでもいい雰囲気でいられた気がします。もちろん、強烈なリーダーシップで引っ張ってくれる主役がいてもいいんですが、それは『銀魂』ではない。この作品に関しては、杉田くんのとったポジション、スタンスがハマって、それがよかったから15年続いたのだと思いたいです」

釘宮「銀ちゃんが背中で語るように、まさに杉田さんもそう振る舞っていました。些細な日常会話をしながらのアフレコでも、姿勢で見せてくれて、守ってくれていたと強く感じています。作品、演者、スタッフに対するリスペクトがとても強く、だけどそれを言葉に出さずに雰囲気で出してくれる。それに乗っからせてもらっていましたが、そうすることで、杉田さん自身にとってもホッとすることがあったのかなと思うと、改めて万事屋っていいバランスだなと感じています」

『銀魂 THE FINAL』は大ヒット公開中!
『銀魂 THE FINAL』は大ヒット公開中![c]空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

杉田「こういうご時世なので、大声で『映画館に行ってほしい!』とはなかなか言えないのですが、これだけは言えます。自分のなかの好きを信じ、好きを貫き通すために行動してください。最後のバカ騒ぎですが、無理して周りに合わせなくていいんです。惑わされないこと、自分を裏切らないこと、負けないこと、信じ抜くこと…」

阪口「ん、歌うの?(笑)」

杉田「涙見せてもいいよ…」

阪口「そのネタは刺さんないよ!若い子には(笑)」

杉田「それが一番…ありがとうございました!」

阪口「ただ楽しむだけでも、小難しく考えながらでも、好きなようにご覧になってください。15年間追いかけてくれた人も、この1か月でハマった人も、『銀魂』を好きでいてくれてありがとうございます。みんなに愛してもらってここまで来ました。本当にいい作品になったので、楽しんでいただければ幸いです」

釘宮「『銀魂』らしさが存分に味わえる作品です。話しだすと、あれもこれもと止まらなくなりますが…とにかく皆さん楽しんでご覧いただければと思います!」

【写真を見る】杉田智和、阪口大助、釘宮理恵が、笑顔でファイティングポーズ!
【写真を見る】杉田智和、阪口大助、釘宮理恵が、笑顔でファイティングポーズ![c]空知英秋/劇場版銀魂製作委員会

取材・文/タナカシノブ

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