伝説の『美少女戦士セーラームーンR』から『S』『SuperS』、『Eternal』へ…劇場版の軌跡をたどる

コラム

伝説の『美少女戦士セーラームーンR』から『S』『SuperS』、『Eternal』へ…劇場版の軌跡をたどる

世界中で絶大な人気を誇る「美少女戦士セーラームーン」。シリーズの実に25年ぶりとなる劇場版2作品、公開中の『劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」《前編》』に続き、『劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」《後編》』が本日より公開となった。そこで今回は、1990年代に製作された劇場版3作と今回の2作を紹介しながら、作品の歴史を振り返ってみたい。

『劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」《後編》』は公開中!
『劇場版「美少女戦士セーラームーン Eternal」《後編》』は公開中![c]武内直子・PNP/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」製作委員会

監督は幾原邦彦!フィオレと衛の関係を通して“愛”についてひも解かれる『美少女戦士セーラームーンR』

90年代アニメシリーズ第1期のヒットを受けて、1993~94年にかけて放送された「美少女戦士セーラームーンR」。前作最終話のラストシーン時点の2か月後から物語が始まり、ダーク・キングダムとの戦いの記憶を失い転生したセーラー戦士たちの再集結や、普通の女の子でいたかったうさぎの迷いと再起などが描かれ、のちの主要キャラクターとなるちびうさも初登場した。

シリーズ初の映画化作品となる『美少女戦士セーラームーンR』(93)は、このアニメ第2シリーズの第88話から、ちびうさが30世紀の未来へ帰るまでの間にあたる物語で、謎の異星人フィオレとセーラー戦士たちの戦いが展開される。

つかの間の休日、うさぎは衛と植物園デートを楽しんでいた。そこへ突然紅い髪の少年が現れ、衛をおどろかせる。フィオレと名乗る少年と衛は、幼い頃に別れたきりの友達だったのだ。しかし、その背後では宇宙から来た悪の花、キセニアンがフィオレを操って地球征服を企てていたのだった。フィオレの友情に苦悩し苦戦するタキシード仮面。その苦境に陥った愛する人、そして地球を守るためにセーラームーンと4人のセーラー戦士たちが立ち上がる。

本作で初めて劇場作品の監督を務めたのが、のちに「少女革命ウテナ」や「ユリ熊嵐」、2019年に放送された「さらざんまい」などを手がける幾原邦彦。フィオレとはイタリア語で、本作のテーマにもなっている“花”という意味。

数年前にテレビアニメ25周年記念のイベントに登壇した幾原は、本作の物語について「(衛との関係を通して)愛がなにかを知らないフィオレが、それを理解する」ことだったと説明している。本作の同時上映作品として、うさぎやほかのメインキャラクターたちがセーラー戦士となる過程や激闘の軌跡をまとめた短編『メイクアップ! セーラー戦士』も公開された。

美少女になったルナ(!)も登場する『美少女戦士セーラームーンS』


1994~95年にかけて放送され、うさぎたち5人が中学3年生に進級し、ちびうさもセーラーちびムーンに覚醒。セーラーウラヌス、セーラーネプチューンの外部太陽系戦士、破滅の戦士セーラーサターンこと土萠ほたるなども登場した第3期「美少女戦士セーラームーンS」。
本作放送中に、原作者の武内直子が描き下ろした長編「かぐや姫の恋人」を映画化したのが『美少女戦士セーラームーンS』(94)で、うさぎのパートナーであるルナと、ある青年との出会いをきっかけに、プリンセス・スノー・カグヤとの戦いが描かれる。

風邪をひいて町中で倒れてしまったルナは、宇宙開拓事業団の一員で、彗星スノー・カグヤの発見者である青年、宇宙翔に助けられる。かぐや姫の存在を信じる彼の優しさに触れ、淡い恋心を抱くルナ。だがその頃、町では地球侵略を目的に、その彗星に乗ってやって来たプリンセス・スノー・カグヤとその手先であるスノーダンサーたちが大暴れしていた。人々が次々に氷に閉じ込められるなか、うさぎをはじめとしたセーラー戦士たちは立ち上がり、プリンセス・スノー・カグヤに戦いを挑んでいく。

セーラーネプチューン、セーラーウラヌス、セーラープルート、セーラーちびムーンも登場する本作。ルナにフォーカスしたストーリーが特徴で、“幻の銀水晶”の力によって彼女が人間の女の子に変身し、ウェーブがかかった長い髪をなびかせる美少女の姿を見せてくれる。