役所広司、西川美和に「身も心も裸にされた」と告白!長澤まさみ、仲野太賀らとプレミアに登壇
『永い言い訳』(16)の西川美和監督の最新作『すばらしき世界』(2月11日公開)のプレミア上映イベントが、1月21日にスペースFS汐留で開催され、主演の役所広司、仲野太賀、長澤まさみ、西川監督が舞台挨拶に登壇。テレビマン役を演じた仲野と長澤がレポーターに扮して役所に直撃質問し、大いに盛り上がりを見せた。
本作は佐木隆三の「身分帳」を原案に、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて映画化に挑んだ問題作。13年ぶりに出所し人生をやり直そうとする主人公の三上役を役所が、三上に接近するテレビマン役を仲野と長澤が演じた。
主演の役所は「脚本を読む前からぜひ参加したいと思ってました。地味といえば地味ですが、こういう企画が通るのは、西川さんの実績の賜物だなと」と言ったあと、西川監督について「初めてお会いした時は、写真より美人だなと思いました。脚本を読んで、僕の裸のシーンが多かったので、こんな監督の前で身も心も裸にされるんだなと緊張しました」と笑いを取った。
西川監督は恐縮して、首を横に振る。また、役所について「10代のころから憧れの役所さんと一緒に仕事ができて本当に幸せです」と喜びを口にした。
仲野も西川監督について「中学生の時に『ゆれる』を観ましたが、そのころの衝撃はいまでも覚えていて、日本映画ってこんなにおもしろいんだという発見がありました。今回は役所さん、長澤さんら日本映画の超トップランナーの方々とものづくりできる環境が幸せで、役者を始めて15年経ったんですが、一生懸命やってきて良かったなと思えた現場でした」と興奮しながらコメント。
長澤は「わりとドライで鋭い役だったので、緊張感に負けないようにしなきゃと思ったらよけいに緊張してしまって(苦笑)。必死に取り組んでました。でも、ちょっとした合間に役所さんや太賀くんと3人で話すことができて、それがとても楽しかった記憶があります」と笑顔を見せた。
すでに本年度の第56回シカゴ国際映画祭で観客賞と最優秀演技賞(役所広司)の2冠の快挙を達成している本作。トロフィを手にした役所は受賞について「作品の力があってこそです。これを切り刻んでみなさんにあげたいけど、それはもったいないのでやめときます」とおちゃめに語る。
西川も作品賞のたてを手にして「映画を撮るようになって、今作で始めて一度も海外の映画祭に赴くことができず、海外のお客さんの前でも上映できなかったので、受賞したと聞いても、狐につままれた気持ちで信じがたいと思ったんですが、海を渡ってトロフィとたてが来てくれて良かった」と安堵した。
また、オンライン上でいろいろな映画祭が開かれたことについては「世界の映画祭の可能性も広がっていって、楽しみに思っております」と前向きに捉えた。
続いて、劇中でテレビマンを演じた仲野と長澤がレポーターに扮して、役所を直撃。最初は作品について役所に聞いていた2人だったが、途中から自分についての質問に切り替えた。
仲野が「ぶっちゃけ、仲野太賀はどうでした?」と聞くと、役所は「出てたっけ?」とじらしたあとで「彼は映画小僧ですね。映画大好き、カメラが大好き。なかなかすばらしい俳優さんだと思います。けっこう愛されキャラ。可愛がられるタイプの人間を普段から演じてます」と言うと、仲野は「非常にずるがしこいタイプかもしれません」とノリノリにうなずく。
続いて長澤も「長澤まさみは?」と便乗して聞くと、役所は「きれいですよ、ものすごくきれい。本編のなかでも出てますが、あのハイヒールで、あのスピードで走るのってすごい。また、たんかを切るシーンを見たとき、思わず『そのとおり!』と拍手をしたくなりました」と言って、長澤を喜ばせた。
取材・文/山崎伸子