“検索してはいけない言葉”コトリバコとは…「2ちゃんねる」を騒然とさせた怪談に迫る
昨年2月に公開し、コロナ禍にもかかわらず、異例の興収14億円超えという大ヒットを果たした清水崇監督『犬鳴村』。SNSで話題となり、高校生を中心にたくさんの人が劇場に足を運び、なんと動員数は110万人を突破。そんな「恐怖の村」シリーズの第2弾として公開となる『樹海村』がいよいよ2月5日(金)から公開となる。さらなる恐怖が待ち受けている本作で登場人物たちが逃げ惑う“コトリバコ”とはいったいなんなのか。本記事では、そんな物語の肝となるキーワードを解剖していきたい。
「ネット怪談」コトリバコとは
2005年、大手ネット掲示板サイト「2ちゃんねる」(当時)の「オカルト超常現象@2Ch掲示板」にて、「コトリバコ」という怪談が話題となった。“コトリバコ”とは呪殺の箱であり、呪いたい相手に送ると相手は死に至るという。いまなおネット上で語り継がれ、実際にこの話を読んだ後に体調不良を訴える報告もあり、「検索してはいけない言葉」とも言われている。
妊娠可能な女性や子供に強力な呪いが降りかかることから、「子取り箱」とも言われるというこの怪談の舞台は、文中の表現から、島根県のある地域に相当すると推測できるが、当時そこでは周囲から酷い差別や迫害を受けている“村”があったとか。
それでは、ここからは諸説あるうちの一つではあるが、怪談の内容を要約していきたい。
ある時、迫害されていた村に一人の男がやってきた。怪しく思った村の人間は追い払おうとするが、男は「命を助けてくれたら、強い武器の作り方を教えてやる」と謎の取引を持ち掛ける。もうお気づきの方もいると思うが、その武器とはほかならぬ“コトリバコ”。その箱を作成するためには大変むごく非人道的な手段を必要とされるもので、噂では寄木で作ったハコに大量の動物の血をいれ、死んだ子どもの指をいれるのだという。
村の人間は強い迫害を受けていたこともあり、武器欲しさに男の取引を受け入れることとなった。こうして作られたコトリバコは、届けられた家の女1人と子ども15人が次々に血反吐を吐いて苦しみ抜いて死ぬほどの効力を持ち、その期間はわずか2週間足らずだったという。
その後もコトリバコは作られ続けたが、ここで事件は起きる。村に住む子どもがなにも知らずにハコを見つけ家に持って帰ってしまい、一日で家中の女と子どもが死に絶えてしまったそうだ。それ以降、強力すぎる呪いに怖気づいた村人は作るのをやめたそうだが…。
ネットでなお語り継がれる“コトリバコ”、そしてスクリーンへ…
以上が「コトリバコ」の内容の要旨であるが、2000年代後半はインターネットで発展した怪談文化=「ネット怪談」が流行した時期で、ネット民を始め多くの人を恐怖に震え上がらせた伝説が多数ある。2ちゃんねる特有の軽い文体も、かえって「文章の素人が記憶を頼りに書いている」という“リアルさ”で話題となったのだ。そのインパクトゆえに、2021年現在も、様々なサイトにコトリバコの記事があるのをご覧になった方がいるかもしれない。
絶えたとされるコトリバコであるが、もしかしたら日本中のどこかにはまだ呪い、そしてハコは存在するのかもしれない。そんな考えと呼応するように、『樹海村』の劇中では、なんと主人公の響(山田杏奈)、鳴(山口まゆ)のそばに現れるのだ。果たして彼女たちは呪いから逃げることはできるのだろうか…。
また、映画の公式SNSには、コトリバコが“おしゃピク”をしている、“旅に出ている”という令和の怪談(?)のような投稿も。そのように意外な面もあるコトリバコだが、もし見かけても絶対近づいてはいけない。スクリーンで観る分には大丈夫かもしれないが、真相は誰にもわからないのだから…。
文/編集部