アカデミー賞候補を目指すジブリ作品も初登場!3大スター共演作が北米ランキングV2に
スーパーボウルの開催日と重なる2月最初の週末は例年、1年のなかでもとくに興行収入の低い週末として知られている。土曜から日曜にかけての興収の下落率で見ても通常は3割程度だが、この週末に限っては6割前後と大きく、それはこのコロナ禍でも例外ではない。2月5日から7日にかけての北米興収ランキングは、めぼしい新作の公開がないにもかかわらず、上位作品のほとんどが大きく前週より数字を落とす結果となった。
前週に初登場1位を飾ったデンゼル・ワシントン主演作『The Little Things』は、苦しくはあるものの2週連続ナンバーワンを獲得。ジャレッド・レトの怪演が話題を集め、ゴールデン・グローブ賞でも候補入りを果たしたわけだが、その恩恵もさすがにスーパーボウルには敵わなかったようで、3日間の興収は前週の半分以下に。
一方で同じくゴールデン・グローブ賞でアニメーション映画賞にノミネートされた『The Croods: A New Age』は前週比93.4%という高水準で2位をキープ。金曜と土曜にしっかりと稼いだことで6週連続の2位となったわけだが、その土曜の興行収入だけを見ると、公開4週目だった12月中旬を上回っており、ほとんど下落が見られない。やはりこうした情勢のなかでもファミリー向け作品は一定数の需要があるものと考えることができよう。
また、惜しくもベストテンには届かなかったが12位に初登場を果たしたのは、スタジオジブリ初の全編3DCG作品として、日本では昨年末にテレビ放送でお披露目された宮崎吾朗監督の最新作『アーヤと魔女』。北米の430館で劇場公開され、およそ9万ドルの興行収入を記録した。
本作の北米配給を担当したのは、数年前からジブリ作品の北米配給をすべて請け負っているGKIDS。アカデミー賞長編アニメーション賞に強い配給会社として知られており、『かぐや姫の物語』(13)や『思い出のマーニー』(14)、そして細田守監督の『未来のミライ』(17)と、すでに3本の日本アニメをアカデミー賞候補へと送りだした実績も。
もちろん『アーヤと魔女』も、来月ノミネートが発表される第93回アカデミー賞の長編アニメーション賞にエントリー。先日発表されたエントリー27作品のなかで日本映画は6作品。現在も日本歴代興収記録を更新し続ける『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(公開中)や、Netflixの『泣きたい私は猫をかぶる』(Netflixで独占配信中)、そしてGKIDSからは『ルパン三世 THE FIRST』(19)と『きみと、波に乗れたら』(19)、『音楽』(19)の3作品も。
ディズニー/ピクサーの『ソウルフル・ワールド』(ディズニープラスで配信中)や、アイルランドの『ウルフウォーカー』(20)など、世界各国から高評価を集めたアニメがひしめき合う同部門で、日本のアニメ映画がどこまで健闘するのか注目していきたい。
文/久保田 和馬