バチバチのギャルメイクもかわいい!森七菜が初の恋愛映画ヒロインで開拓した新境地
「この恋あたためますか」で連ドラ初主演を飾ったほか、NHK連続テレビ小説「エール」ではヒロインの妹役に抜擢され、2020年ブレイク女優ランキングでも1位に選ばれるなど大きな飛躍をとげた女優、森七菜。飛ぶ鳥を落とす勢いの彼女が、初の長編映画主演作『ライアー×ライアー』(公開中)で意外すぎるギャル姿に扮している。
岩井俊二監督がオーディション惚れ込んだみずみずしさ
2016年、中学3年生の時にスカウトされて芸能活動を開始すると、2017年には「東京ヴァンパイアホテル」でドラマ初出演、『心が叫びたがってるんだ。』で映画初出演とすぐさま頭角を現した森。2019年の『天気の子』では、2000人以上が参加したオーデションからヒロイン役を勝ち取ると、数々の女優の登竜門となってきた「全国高等学校サッカー選手権大会」の応援マネージャーにも抜擢されるなど、一躍ブレイクを果たした。
みずみずしい魅力を放つ森は、飾り気のないナチュラルな表情が印象的。「スマイル」の歌も話題となったオロナミンCのCMでは、彼女のありのままの姿を記録するため、照明もなしにカメラをただ数台設置しただけというバージョンも制作されたほどだ。
『ラストレター』(20)のオーディションで彼女に惚れ込んだ岩井俊二監督は、同作の主題歌にも森を起用。『最初の晩餐』(19)で共演した戸田恵梨香は、舞台挨拶で「なんてキラキラしているのかと羨ましくなった」と語っており、その自然体な魅力は男女問わず観る者を惹きつけてきた。
初の主演映画で見せた新たな一面とは?
そんな彼女の新たな一面を楽しむことができるのが、SixTONESの松村北斗とのW主演で、金田一蓮十郎の同名コミックを映画化した『ライアー×ライアー』だ。女子大生の湊(森)は、ひょんなことからギャルメイクの女子高生姿で街に繰り出していたところ、険悪な関係にある義理の弟、透(松村)に遭遇。とっさに別人の“みな”であると嘘をつくと、それを信じた透から猛アプローチをかけられてしまい、奇妙な関係を築いていくことに。
恋愛経験ゼロの地味めな湊、かたや派手な見た目のみなという、一人二役とも言える幅のある役にトライしている森。湊として、どこかぼくとつとした雰囲気を漂わせた姿を見せたかと思えば、みなになると一変し、金髪に付けまつげ、丈短めなスカートとバチバチのギャル姿を披露。いままでのイメージとはかけ離れた、キュートな姿に様変わりしてみせている。
芝居の面では、“見た目はみなだが、中身は湊”という複雑な役柄を、大げさなほど明るく振る舞ってみせたり、回転ハグといった透の激しいスキンシップに目を丸くして驚いたりと、コミカルな役どころをチャーミングに体現。加えて、“みな”としてでないと透と良好な関係を築けないことに対するせつなさをにじませるなど、心の機微を感じさせてくれる。
これまで本格的に原作もののキャラクターを演じた経験がなく、彼女の自信の持ち味を生かした演技をしてきた森だが、本作では原作のテイストをしっかりと落とし込み、時にはケレン味を感じさせるような演技も見せたりと新たな道を開拓。今後さらに作品の幅を広げていくであろう彼女にとって、転機の一作となりそうだ。
文/サンクレイオ翼