実写+アニメ『トムとジェリー』が北米初登場1位!コロナ禍では『ワンダーウーマン1984』に次ぐヒットスタート
1940年に誕生してから80年の間に、160本を超える劇場用短編と数えきれないほど多くのテレビ用短編、さらには長編映画も製作されてきた「トムとジェリー」。同シリーズを、近年ハリウッドで新たな流行となりつつある実写+アニメーションの“ハイブリッド”で映画化した『トムとジェリー』(3月19日日本公開)が、見事に初登場1位を飾った、先週末(2月26日から28日)の北米興収ランキング。
『トムとジェリー』は2475館で公開され、興行収入は1411万ドルを記録。これは昨年末の『ワンダーウーマン1984』の1670万ドルに次ぐ、コロナ禍としては2番目のオープニング成績となる。批評を集積するサイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの評価は辛辣なものばかりが目立つが、観客の85%からは好意的なレビューが寄せられている。人気キャラクターの新たな試みは、時節と作品のタイプを考えれば充分に成功と呼べる出来になっているようだ。
それ以上に、この数か月間『The Croods: A New Age』の独壇場がつづいていたメジャー系のファミリー向け映画に新たなタイトルが登場したことは大きい。『The Croods』は公開から約1か月を経て配信リリースされた後も安定した興行をつづけ、パッケージが発売されるのとほぼ同タイミングで興収ランキングの首位に返り咲き、いまだ2位をキープ。
『トムとジェリー』もHBO MaxでのPVOD同時配信も好調と報じられており、長期的に安定した興行を期待できるだろう。
またこの週末からは、劇場とディズニープラスのプレミアムアクセスでディズニーの最新作『ラーヤと龍の王国』が全世界で公開。本格的な興行復活の起爆剤となりそうだ。
先日、北米ではアカデミー賞の前哨戦のひとつであるゴールデン・グローブ賞が発表され、『ノマドランド』(3月26日日本公開)が2冠を達成。例年その直後の週末にはゴールデン・グローブ賞の結果を受けて受賞作が次々と興収を伸ばすことが見受けられ、同時に先の報道通りニューヨーク市の映画館が再開される。
ニューヨーク市では待望の『TENET テネット』(20)の劇場公開も決まっており、次週の興収ランキングは久しぶりに大きな動きが見られるかもしれない。
文/久保田 和馬