成田凌と清原果耶が語る、2人の“距離感”から生まれた『まともじゃないのは君も一緒』の絶妙な会話劇
独特の雰囲気をまとい、作品ごとに輪郭から変化する成田凌。比類なき演技力で、出世街道を駆け上がる清原果耶。感覚派と理論派のふたりが初共演したと聞いたら、観賞欲がむずむずと動き出すことだろう。しかも、監督:前田弘二×脚本:高田亮は、吉高由里子のファニーな魅力がさく裂した快作『婚前特急』(11)の黄金コンビ。彼らが構築する世界に、成田と清原が飛び込む――。『まともじゃないのは君も一緒』(公開中)は、顔ぶれ段階で多くの映画ファンの注目作だったに違いない。
数学に人生を捧げ、他者とのコミュニケーションが不得手な予備校講師・大野(成田凌)。「普通の結婚」を夢見る彼は、教え子の香住(清原果耶)の指南を受け、普通(まとも)な恋愛を学ぼうとするのだが……。大野には強気な態度をとる香住は、実はSNSなどをソースにした知ったかぶりで、自身は恋愛経験ゼロ。クラスメートの前では周囲に合わせて“普通の女子高生”を演じているが、窮屈に感じている。大野は大野で、告白されても「定量的に言ってもらえるかな?」と返して相手を困惑させたり、数学の話になると早口になって引かれたりと、他者と歩幅を合わせられない。そんな「普通がわからない」ふたりを演じたのが、成田と清原というわけだ。
大野は挙動不審で、香住はとかく毒舌。成田と清原は「自分に似ているところはない(笑)」と口をそろえるが、ハマり具合といい、阿吽の呼吸で繰り広げられるコミカルな会話シーンといい、「新しいけどぴったり!」と拍手を送りたくなるほど。今回は、成田と清原に撮影の舞台裏や、演技のアプローチを語ってもらった。
「清原果耶さんと言えば、『山田孝之が絶賛していた天才』」(成田)
まず気になるのが、互いの印象について。ともに顔を見ない日はないほど活躍しているトップランナーたちは、どんな意識を持っていたのだろう? 成田は「清原果耶さんといえば、『山田孝之が絶賛していた人』です。『天才だ』と聞いていて、実際に共演したら……天才でした」と茶目っ気たっぷりに語る。その言葉を聞いた清原は、すぐに「やめてください!(笑)」と反応。この相性の良さ、すぐ目の前で『まともじゃないのは君も一緒』の大野と香住を観ているようだ。
清原は続けて、「成田さんと初めてお会いしたのは本読みのときでしたが、なぜか甚平を着ていたのを覚えています(笑)」と明かしてくれた。