成田凌と清原果耶が語る、2人の“距離感”から生まれた『まともじゃないのは君も一緒』の絶妙な会話劇
「香住と私は性格も真逆で、どうすればいいか悩み込んでしまいました」(清原)
成田は、撮影中に清原が袋小路に入ってしまった際にも、泰然自若とした態度で安心させてくれたのだとか。「前田監督からは『基本的には直感でやって大丈夫』とのことでしたが、撮影時に『とにかく思いっきり振り切って!』と何回も言われました。でも、じゃあどこに振り切ればいいのか? そこは苦戦しましたね。香住と私は性格も真逆ですし、酔っぱらうシーンも、どうすればいいかわからなくて悩み込んでしまったんです。そこで成田さんに『煮詰詰まったときは、どうすればいいですか?』と相談したら『何もしなくて大丈夫だよ』と教えてくださいました」(清原)。
成田は「困ったときにどうしたらいいか聞いてくれたのに、僕の返答がダサすぎてへこみました」と苦笑いを浮かべるが、相手役である成田の落ち着きが、清原にとってもよい“気づき”になったことは想像に難くない。生真面目に、全力で取り組むことも大事だが、適度にリラックスして“良い加減”に挑むのも悪くない。成田の自然体の姿は、本作のテーマである「自分らしさ」にも通じる。
「監督と変わった笑い方の人を教え合ってキャラクターを探っていきました」(成田)
その成田は、前田監督と「『大野の笑い方をどうしようか』と話し合いました」と明かす。「監督や僕の周りにいる、変わった笑い方の人を教え合って探っていきましたね。僕が提案したのは、無音でずっと笑っている人。でも、実際やるとわかりづらくてボツになりました。3パターンくらい試して、あの形に落ち着きました」。映画を観終えた後も強烈に残る、大野の引き笑いのようなインパクトある笑いは、綿密な打ち合わせの元で生まれたものだったのだ。
役づくりにおいては、「前田監督から数学者の方の本をお借りしましたが、僕と大野は共通点もないし、読んでも気持ちが全然わからない(苦笑)。演じながら『そんなところに引っかかるの?』と思いつつ、一方で、彼はすごく素直に生きている人なんだと感じました」と語る成田。
脚本を読んだ際の印象は「『セリフ多いなぁ。覚えるの大変そうだなぁ』です(笑)」だったそうで、「掛け合いが多いから、清原さんと合わせてみないとわからない。だから早く会いたかったです」と撮影初日までの日々を振り返る。清原も「私も、『すごくしゃべる役だ』と思いました(笑)。毒舌で何でも言っちゃう役を演じるのは初めてだったので、言葉遣いや行動を自分の中でどう固めていけばいいのかは悩みましたね」と教えてくれた。