成田凌と清原果耶が語る、2人の“距離感”から生まれた『まともじゃないのは君も一緒』の絶妙な会話劇
「香住の気持ちに合わせた衣装を着られることが助けになりました」(清原)
具体的に、成田と清原はどのようなアプローチをとって、あの流麗なやり取りを作り出していったのか? カギとなったのは、リハーサルだという。成田は「リハーサルで実際に合わせて、つかんでいきました。特に冒頭のシーンは、集中的に稽古しましたね。清原さんとは、最初に合わせたときからワクワクしたし、ずっと楽しかったです」と顔をほころばせる。
清原によると、リハーサル自体は1日しか取れなかったというが、「だからこそ集中して、セリフを何回も読みあわせて練習しました」と逆に気合が入ったそう。その甲斐あって「最初のシーンを撮り終わったときに『この楽しいやり取りはもうできないんだ』とさみしかったですね」(成田)という地点にまで到達できたそうだ。
また、撮影の際には「ふたりの距離」に気を配ったという。「香住と話しているときにいきなり近づいて、“まともじゃない”感じを物理的に出したいと考えました。そして、とにかく間違えないこと。歩く距離が伸びるほど『ここで間違えたら大変なことになる』という緊張が高まって、セリフを置きにいきました」と振り返る成田。今回の撮影は“長回し”が多く、ワンカットで大量のセリフを発さねばならないため、ひとつのミスが命取りになる。
清原は、手の動きや動作で香住らしさを表現していたという。また「今回は衣装のレパートリーが多かったので、香住の気持ちに合わせた衣装を着られることが助けになりました。彼女だったらなるべく目立たないように、“普通”の女子高生に見えるような服を選ぶはず。その部分はお伝えさせていただきました」と見た目のアプローチも積極的に行ったそうだ。
成田は「衣装に関しては、ふたりともこだわりましたね」とうなずき、「僕の場合はあの黄色いジャケット。大野には商店街の服屋に長年置いてありそうな『ずっと待ってる服』が良かったから、用意していただいたものをみて『これだ!』とすごく気に入りました。衣装部さんが本当にいいものを見つけてきてくれましたね」と大野のトレードマークについて語る。
笑いあり、ボケ&ツッコミあり。息ぴったりな成田と清原のトークは、聞いているこちらも笑みがこぼれるほど。初共演で、互いに良い化学反応があったのだろう。そんなふたりに、最後に「新たな価値観をもらえた作品」を聞いてみた。
清原は「私は最近だと、Netflix映画『マリッジ・ストーリー』です。『お芝居って楽しい!』とワクワクしました」と、成田は「僕は、英国の友人が勧めてくれた『地球博物学大図鑑』(東京書籍刊)。『地球の全てが載っている』と言われて読んだら、まさにその通りでした。すごく面白くて、オススメです」と明かした。
タイプこそ違うが、オリジナリティあふれる演技で魅了してくれる表現者たち。相性抜群の成田と清原は、この先に待つ“再共演”で、なにを見せてくれるのだろうか。
取材・文/SYO