斎藤工がゆうばりで初長編監督作をお披露目!その“男気”に満場の拍手
北海道・夕張市で現在開催中のゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017。3月3日、俳優の斎藤工が「齊藤工」名義で撮りあげた映画『blank13』のワールド・プレミア上映が行われ、上映後のティーチインに斎藤工と村上淳が登壇した。
超満員の観客と一緒に作品を鑑賞した斎藤は、「機材が止まらないようにとか、神頼みのように機械まわりの心配をずっとしてました。これだけの方とワールドプレミアを迎えられたというのは本当に恵まれていますね」と、どこか安堵の表情を浮かべながら、監督作ならではの感想をコメント。村上は「みなさんと見れたことは最高の思い出になります。そして、日本映画にまたすばらしい監督が現れたなと改めて思いました」と斎藤を讃えた。
斎藤にとって7本目の監督作であり、かつ長編監督デビュー作でもある本作は“実話”に基づく物語。大別すると、13年前に借金を残したまま失踪した父が余命わずかな状態で見つかり、母や兄と共に複雑な感情を抱く弟を描いた重厚な家族のドラマと、父の死後、葬儀の場に集まった参列者から様々なエピソードが語られ、知られざる父の13年間が明かされていく奇妙な葬儀シーンから成り立っている。
斎藤は、葬儀シーンで出演している村上の演技について触れ、「実は淳さんの役柄の台本は一行もセリフが書かれていません。全部淳さんが作ってきてくださったのと、アドリブで…」と明かしていくと客席からはどよめきと笑い声が起こり、村上も「『あとはおまかせ』みたいに書いてあって…」と告白。現場で村上はかなり自由にアドリブをしていたため、斎藤は笑いを堪えていたようで「ずっと僕つらかったんです。僕が笑っちゃって使えないシーンがいっぱいありました」と笑顔を浮かべた。
その後、高橋一生が演じた主人公のモデルでもある原作者の放送作家・はしもとこうじと、斎藤の高校時代の同級生で本作の編集を担当した小川弾も登壇。はしもとは「本当にただのギャンブル好きのろくでもない親父だったんですが、こんな映画にしていただいて」と感謝を述べた。さらに観客からの質疑応答も行われ、質問を忘れしてしまった観客に斎藤が「挙手してくれただけでもありがたいです。ハグしたい気持ち」と優しく対応する場面もあった。
最後に、斎藤が当初より「この作品はゆうばりを目指す」と意気込んでいたことが村上から明かされ、村上が「色々な映画祭があるなか、ここでかけるって企画段階から貫いてきた“男気”はすばらしいなと思いました。斎藤工に拍手を!」と締めると、会場は盛大な拍手で包まれた。【取材・文/Movie Walker】