「時代が『エヴァ』と庵野さんを受け入れてくれた」宮村優子が振り返る、庵野秀明とアスカとの25年
登場人物それぞれに愛が込められ、“誰も知らなかった結末”へとたどり着いた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの最新作にして完結編となる『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(公開中)。テレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」の放送開始から、ヒロインのひとりであるアスカ役を25年間にわたって演じてきた声優の宮村優子は、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(97)では「苦しいこともあった」と告白。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズのアフレコでその苦しみが昇華されたという宮村が、アスカとの出会いや、近くで見て感じた庵野秀明総監督の“25年の変化”について明かした。
※本記事は、作品の展開に関する記述を含みます。未見の方はご注意ください。
「船が港について、みんなでそこから降りようとしている」
1995年にテレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」が放送スタートして以来、新作が発表されるごとに社会現象を巻き起こしてきた「エヴァンゲリオン」。2007年から「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズが始まり、『:序』、『:破』(09)、『:Q』(12)と続いてきた物語が、本作で完結した。エヴァンゲリオン初号機に乗り込み、使徒と戦うことを強要された14歳の少年、碇シンジを主人公とした本シリーズで、宮村はエヴァのパイロットのひとりで、勝ち気ながら、孤独で複雑な内面を抱えた少女、式波・アスカ・ラングレーを演じている。
ついに迎えた終劇に、宮村は「ファンの方や『エヴァンゲリオン』に携わった人たちと25年もの間、同じ船に乗ってきたよう。やっと船が港について、みんなでそこから降りようとしている感じがしています。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、庵野総監督がどのキャラも救おうとしている、愛のある作品になっていて深い感動を覚えました。だって『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』とはまったく違いますから(笑)!そこからの紆余曲折も含めて、ここにたどり着いたことに大感動です」と感無量の面持ちで、「本当によかった」と目尻を下げる。
本作でのアスカは、かつてのクラスメイトである相田ケンスケの家に居候している状況にある。宮村は「台本を読んで、“アスカは、いろいろな事情を知っているケンケン(ケンスケ)のところに居候しているんだな”と思いました。でもアフレコに行ったら、アスカとケンケンの表情や動きも、親密な感じがあって。庵野総監督に『なぜ親密なんですか?』と聞いたら、『ダメ?』って(笑)。『ダメじゃないけど…』という会話をしたことを覚えています」とにっこり。
「ケンケンって、めちゃくちゃいいヤツですよね。シンジに対して『立ち直るまで待とう』という態度で見守ることができるし、アスカにとっても、お父さんのような存在だなと感じました。きっとケンケンは、辛抱強く、アスカが心を開くのを待って、受け入れてくれた人なんだと思います。私も『みやむ(宮村)は、みやむのままでいいんだよ』なんて言われてみたい(笑)。とはいえ私の解釈では、アスカとケンケンはクリーンな関係です!」と熱弁する。