インタビュー 2021/4/9 18:30

「時代が『エヴァ』と庵野さんを受け入れてくれた」宮村優子が振り返る、庵野秀明とアスカとの25年

「『新世紀エヴァンゲリオン劇場版』は苦しいこともあった。『：破』では、庵野総監督が変化していた」

本作の生みの親である庵野総監督。その姿を見てきた宮村は、テレビシリーズやその劇場版と、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの制作時では、庵野総監督の様子が「まったく変化していた」と明かす。

宮村が惣流・アスカ・ラングレー役として出演した『新世紀エヴァンゲリオン劇場版　Ａｉｒ／まごころを、君に』で、アスカはあまりにも壮絶な出来事に見舞われる。宮村は「あの映画の後、『エヴァ』が怖くて怖くて、観られなくなってしまった時期がある」という。アスカが量産型にやられるシーンは、ファンの方には人気がある場面なので『観直してみよう』と思って観たんですが、やっぱりアスカがとってもかわいそうで。

その後『新劇場版』シリーズが始まっても『：序』にアスカは出演していませんでしたので、『このままアスカのいない世界線が描かれていくのかな？』とも思っていたところ、『：破』には出番があると聞きました。私はアフレコ前から、すごいストレスを感じてしまって(笑)！『アフレコに行きたくない、怖い』とガチガチになっていました」。

緊張しながら『：破』のアフレコ現場に向かった宮村だが、「行ってみたら、ものすごく楽しかったんです！『エヴァ』のアフレコがこんなに楽しいなんて初めて、と思うくらい。怖いなんて思うこともなく、アフレコにいくのが本当に楽しかった」と大きな笑顔を見せる。「何度もテイクを重ねていくという、庵野総監督の録り方は変わっていないんですが、様子は全然違う(笑)。以前は、ものすごく苦悩されていたように思います。『どうすればいいんだ、どうすればいいんだ』と悩まれていたけれど、『：破』でお会いした時は、『どんな演技をしても大丈夫だよ』という感じでいつも笑顔でした。すごい！変わった！と思いましたね」。

宮村は過ぎた年月を噛み締めながら、庵野総監督の変化についてこのように思いを巡らせる。「いま日本は、アニメに対してとても寛容な世界になりました。『エヴァ』の人気が出た1990年代はまだ、本屋さんでもアニメのコーナーが奥の方の隅っこにあるような時代で。庵野さんにとっては技術面、予算面などそういった環境も含めて、やりたいことが叶わないという苦悩があったように思います。それがいまは、アニメも受け入れてくれるし、『エヴァ』も庵野さんも受け入れてくれて、たくさんの人に支えられながら、庵野さんにとってやりたいものを作れる環境ができた。いつも真摯に作品に向き合う庵野総監督だからこそ、その環境が叶ったことにとても感謝しているのではないかと思います。今回の作品を観たら、ものすごくその想いが伝わってきました」と語り、「この後の作品も頑張ってほしいです！」と温かなエールを送る。

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