田口トモロヲ&松重豊&光石研&遠藤憲一が語る、大杉漣がくれた“楽しむ力”「生涯かけて目指す」
日本の映画、ドラマに欠かせない名バイプレイヤーたちが実名で出演して話題を呼んだテレビドラマ「バイプレイヤーズ」が、映画『バイプレイヤーズ〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』となってスクリーンで公開中だ。シーズン1から出演する田口トモロヲ、松重豊、光石研、遠藤憲一が、本シリーズのリーダーと慕い続けるのが、2018年に急逝した大杉漣だ。大杉から受け取ったものは、「楽しむ力」だと声を揃える4人。劇中の“わちゃわちゃ感”そのまま!笑顔いっぱいに、大杉への想いや“バイプレ愛”を語った。
「漣さんを抜きにした『バイプレイヤーズ』は考えられなかった」
2017年に、テレビ東京系にてテレビドラマシーズン1「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」がスタート。映画やドラマで渋い存在感を発揮する名脇役たちが本人役を演じ、おじさんたちの賑やかなやり取りが大人気を博した。翌2018年にはシーズン2「バイプレイヤーズ~もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら~」も実現。2021年1月からは、100人を超える名脇役が共演する新シリーズ「バイプレイヤーズ〜名脇役の森の100日間~」が放送され、このほど満を持して劇場版がお披露目となった。
――大杉さんは「『バイプレイヤーズ』を映画にしたい」とお話されていたそうです。皆さんのやり取りが楽しいのはもちろん、撮影現場への愛、そこに集う人への愛が込められた作品として完成しましたが、映画化が叶った感想を教えてください。
田口「やはり我々としては、漣さんを抜きにした『バイプレイヤーズ』は考えられなかったので、なかなか腰が上がりませんでした。我々にとっての『バイプレイヤーズ』は、終了したと思っていましたから。それを『バイプレイヤーズ』を立ち上げてくれたプロデューサーや松居(大悟)監督、スタッフなど、これまで関わってくれた人たちが時間をかけてこじ開けたというか(笑)。試行錯誤しながら、我々が参加できるようなアイデアをたくさん出してくれて、今回『これならできるのではないか』と感じさせてくれました。漣さんとは、撮影後によく『このメンバーで映画を撮れたらいいね』と話していたので、それが実現できたのは喜ばしいことだと思っています」
松重「発端は、下北沢で『6人の男たちフィルムズ オールナイト』という特集上映会(2002年開催)をやっていただいたことで、それが今日につながっているんです。小さな映画館から始まった集いで、その中心にいたのが大杉漣さん。その集いもテレビシリーズもすべて、大杉さんが育ててくれたと思っています。そのころから考えると、東宝さんのような大手で僕らの映画が作られるということは、クランクインするまでにわかに信じられないものがあって。映画が完成しても、大杉さんが作った土壌をいろいろな人が支えて、そのうえで作り上げられたものなんだなと思っています。僕はそこの一部に引っ付いているような感覚でおります」
光石「出来上がったものを観ると、やっぱりそこに大杉さんを感じることができます。本当に『バイプレイヤーズ』というのは、大杉さんあってこそできたもの。だからこうして映画が完成したことも、信じられない想いでおります。今日だって、こんなホテルでインタビューを受けているなんてね…。狐につままれているようで、ずっと疑心暗鬼になっています。これ、本当のこと?大丈夫かな、誰かが騙そうとしているんじゃないかな…なんて(笑)」
遠藤「あはは!俺もね、大杉さんなしで『バイプレイヤーズ』をやるなんて、絶対に無理だと思っていた。『嫌だ、そんなの参加したくない!』っていう気持ちだった。だけど4人で集まって、テレビドラマをやってみたら『行ける!』と思えた。このメンバーは、どんな場面でも、どんな状況でも“あうん”の呼吸で、やり取りができる。シーズン1から培ってきたものというのは、大きなものだったんだなと感じています。自画自賛するわけじゃないけれど、肩の力の抜けた4人が好き放題やるって、そうそうできることじゃない。作り上げる過程もすごく楽しかったし、完成した作品を観て改めて、感動しました」