「首里城はいままで何度も燃えて生まれ変わっている…」“再生”への想いを現実と重ねた映画『夢の残像』

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「首里城はいままで何度も燃えて生まれ変わっている…」“再生”への想いを現実と重ねた映画『夢の残像』

沖縄で4月17日、18日の2日間にわたって開催されている「島ぜんぶでおーきな祭 第13回沖縄国際映画祭」。18日は、那覇市の桜坂劇場ホールで岸本司監督作『夢の残像』の上映と舞台挨拶が行われた。

岸本監督は、沖縄出身の映画監督で、これまで『アコークロ―』(07)のほか、『琉球バトルロワイヤル』(13)、『ハルサーエイカー THEMOVIEエイカーズ』(15)といった長編映画を手掛け、2015年に発表した『こころ、おどる-Kearama Blue-』では、米国アカデミー賞が公認するアジア最大級の国際短編映画祭「SSFF&ASIA2015」にて、ジャパン部門優秀賞、東京都知事賞を受賞した。また、テレビドラマでは、「琉神マブヤー」や「ハルサーエイカー」、「オバー自慢の爆弾鍋」などの演出を担当している。

【写真を見る】“再生”をテーマに描いた『夢の残像』の制作秘話を語る
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『夢の残像』は、沖縄の古都・首里の街並みと古びた映画館を舞台に、挫折を抱え故郷に戻ってきた男とその家族や周囲の人間模様を、それぞれの困難な状況も含めて温かくシンプルに描きだした、岸本監督の最新作。

上映終了後の舞台挨拶は、感染防止対策のため出演者2人ずつで登壇。まず主人公、下地役の嘉人は、自分自身も10年ほど前に主人公と同じように、挫折して役者をやめようと思ったことがあるという経験を話し、「この映画との縁を感じます。俳優として生きていくと決めてから、日々精進しています」とコメント。映画館「首里劇場」のオーナー、金城役の新垣正弘は、「実は、首里劇場には小さいころからよく行っていたんだよ」と開館から70年以上にもなる沖縄最古の映画館での撮影に、自身の思い出を重ねていたことを明かした。

主演を務めた嘉人
主演を務めた嘉人

続いて登壇したのは、下地の妹ジュンを演じた真栄城美鈴。今回、女性同士のラブシーンに挑戦したことに触れ、「キスシーンを演じるのは初めてでした」と撮影を振り返った。女子高生、さくら役の蓬莱つくしは、オーディションを勝ち抜いて映画デビュー。「撮影の時はうれしさと不安の両方がありました」と初々しい表情で話し、共演者やスタッフのサポートに感謝しきりだった。

最後に登壇した岸本監督は「今回、映画祭のプロデューサーから映画館をテーマにしようと提案があって、そのなかで首里劇場というすばらしい古い劇場を見つけて、“傾きかけているところから再出発する物語”が生まれました」と作品の誕生秘話を明かした。また、焼失した首里城の映像が作中に登場することに触れ、「首里城はいままで何度も燃えて生まれ変わっているんです。だから希望を持って再生できる」と、本作の物語とも深いつながりがあるとコメントした。

2人ずつの登壇となった舞台挨拶
2人ずつの登壇となった舞台挨拶

岸本監督は、その後のインタビューに応じ、「僕はずっと何年も沖縄で映画を撮っていて、スタッフとキャストをチームとして信頼しているので安心して撮れました」と撮影現場を振り返り、「人はなんにでも夢を見られるし、なんにでも絶望できる。燃えた首里城をロケハンした時にそのことを強く感じました」と改めて心境を語ってくれた。

また、沖縄ヒストリカルムービーとして、17日に上映された自身の監督作品『エイサーどんどん』についても「あの作品は『沖縄全島エイサーまつり65周年記念特別動画』として製作したものですが、実際のエイサーのシーンの迫力や音にこだわった作品なので映画館で上映されて、とてもうれしい」と振り返った。

取材・文/角川アップリンク


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