浜口京子が語る、『いのちの停車場』で噛みしめた“両親への感謝”「誰かの優しさが人を強くする」
「ケンカした時の浜口家の仲直り法は、肩揉みとおいしいものを食べること!」
両親への感謝を口にする浜口だが、「ケンカもしょっちゅうしますよ」と笑う。「原因は、いつも他愛もないこと。ケンカも、私たち家族のコミュニケーションの一つかもしれません。ピリピリした雰囲気がだんだんおもしろくなってしまって、誰かがクスッと笑うとそれで終わるんです」となんとも楽しそうな浜口家。
本作では、柳葉敏郎演じる厳格な父親が、死の淵で長年心を通わせていなかった息子との再会を願うシーンがある。仲違いをしたまま会えなくなってしまった劇中の親子を想い、浜口は「本当に不器用なお父様!言いたいこと、言っておくべきことは、伝えておかなければいけないと思いました。それも本作から学んだことです」と吐露。「そういった意味でも、時にはケンカすることも必要。思っていることを吐きだして、ぶつかり合う。ケンカをできる相手がいることも、とてもありがたいことなのかなと思います」。
仲直りに最適な方法はあるだろうか?すると浜口は「マッサージをすることもオススメです。たとえば母とケンカをしたとします。そんな時は肩のマッサージをしてあげると、お互いにカッとなっていたものが、スーッと溶けて心が穏やかになってくる。やっぱり触れることで、気持ちもつながる気がするんです。あとはおいしくて、温かいものを一緒に食べること。コロナ禍では、両親を元気にしたいなと思うこともあります。先日はワンタンスープにネギを入れて、ぽんと食卓に置いてみました。2人とも、すごくおいしそうに食べていました。マッサージとおいしいものを一緒に食べること。これが仲直りの秘訣です」と教えてくれた。
一つ一つ丁寧に言葉を紡ぎ、どんな話からも温かな人柄がにじみだす浜口京子。自分を信じ、励ましてくれた人の存在を知っているからこそ、周囲を照らすような笑顔を持っているように感じる。「この映画を観て、改めて自分にとって大切なものがわかったような気がします。生きること、そしてこれからも生きていくこと。そういった大切なことがわかる映画だと思います」と話していた。
取材・文/成田おり枝