南沙良、ミニシアターを巡るVol.10 シネスイッチ銀座(後編)|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
南沙良、ミニシアターを巡るVol.10 シネスイッチ銀座(後編)

コラム

南沙良、ミニシアターを巡るVol.10 シネスイッチ銀座(後編)

「DVD&動画配信でーた」と連動した連載「南沙良、ミニシアターを巡る 彗星のごとく現れる予期せぬトキメキに自由を奪われたいっ」。第10回はシネスイッチ銀座さん(後編)。取締役の吉澤周子さんとの対談の模様をお届けします!

40週間上映した『ニュー・シネマ・パラダイス』

南 「『幼な子われらに生まれ』の舞台挨拶ではお世話になりました!でも、実は仕事以外で銀座に来たことがなくて。洗練された街、というイメージですが…」

吉澤 「南さんのお婆さんやひいお婆さんくらいの世代からすると、銀座はハレの日に出かける1番の繁華街です。私がここで働き始めたのは1997年ですが、その時ですら“ジーンズを履いてきちゃいけない街”って認識でした。だからお客様も、そんなイメージを持っている中高年女性が多いんです」

南 「ということは、上映される作品も女性向けですか?」

吉澤 「はい、女性視点を重視したセレクトです。女性が観て『それはちょっと…』となる映画は選びません。レディースデイを始めたのも、うちが最初なんですよ」

南 「知りませんでした!」

吉澤 「そうだ、南さん、連載でミニシアターを回られてるなら、1980年代後半のミニシアター・ブームの話もご存知ですよね?」

南 「はい、ユーロスペースさんでも、そんな話が出ていました」

吉澤 「当時シネスイッチ銀座で上映した『ニュー・シネマ・パラダイス』の入場者数は、日本で上映されたミニシアター作品のなかで、未だにNo.1なんですよ。40週間も上映したんです」

南 「40週!?すごい!」

吉澤 「3回来て3回とも満員で入れなかったよ、とおっしゃるお客様もいたほどです。当時はネット座席予約もなかったので、みんなチケットを買うために列をつくって並びましたし、いわゆる立ち見、通路で観る人もいました」

南 「想像がつかないです…」

吉澤 「都内にミニシアターが数軒しかない時代なので、上映する劇場に人が殺到したんです。うちも当時は比較的作家性のある作品を上映していましたが、いまではミニシアター作品の入り口になるような作品をかけるようにしています。うちで初めてイラン映画を観た方が、またイラン映画を観てみたいな、と思えるような。マニアックな映画はユーロスペースの北條支配人にお任せして(笑)」

南 「私の好きなサメ映画やクリーチャー映画は、シネスイッチさんではかかりそうもありません(笑)」

若い人には、映画で冒険してほしい

【写真を見る】ロビーには手書きのオススメ映画レビューがたくさん掲載されています
【写真を見る】ロビーには手書きのオススメ映画レビューがたくさん掲載されています撮影/杉映貴子 ヘアメイク/藤尾明日香 スタイリスト/武久真理江


吉澤 「たぶん東京って、世界一いろんな種類の映画が観られる都市なんです。NYやパリよりもずっと多様な映画が観られる。インドも映画大国ですが、自国の映画が多いですし。日本では、年間2000本くらい公開されますから」

南 「に、2000本!そんなに!?」

吉澤 「南さんは、観る映画をどうやって決めてるんですか?」

南 「チラシやネットの情報ですが、人の評判はあまり参考にしませんね。想像するのと違った内容だったりもするんですが、『おもしろいかも…』に賭けちゃうんですよ」

吉澤 「うれしいな…」

南 「え?」

吉澤 「いまの人って映画に限らず、口コミを調べ尽くして、確実性がないと何かを選ばないでしょう。でもレコードの“ジャケ買い”と一緒で、『聴いてみたらちょっと違った…』ってことも含めて楽しいじゃないですか。だから、南さんがその若さで冒険してくれてるのが、すごくうれしいです」

南 「ありがとうございます!たしかに、チラシに騙されたことは結構ありますよ(笑)」

南沙良直筆の周辺マップ!
南沙良直筆の周辺マップ!

取材・文/稲田豊史

衣装協力/ROSE BUD beautiful people HIMIKO revie objects

●シネスイッチ銀座
公式サイト https://cineswitch.com/
住所 東京都中央区銀座4-4-5 簱ビル
電話 03-3561-0707
最寄駅 地下鉄銀座駅、地下鉄日比谷駅、有楽町駅

●南沙良 プロフィール
2002年6月11日生まれ、東京都出身。
第18回ニコラモデルオーディションのグランプリを受賞、その後同誌専属モデルを務める。
女優としては、映画『幼な子われらに生まれ』(17/三島有紀子監督)に出演し、デビュー作ながらも、報知映画賞、ブルーリボン賞・新人賞にノミネート。
その後、行定勲が監督を務めた、ロックバンド・レベッカの17年ぶりの新曲「恋に堕ちたら」(17)のミュージックビデオに主演。
2018年公開の映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18/湯浅弘章監督)では映画初主演ながらも、第43回報知映画賞・新人賞、第61回ブルーリボン賞・新人賞、第33回高崎映画祭・最優秀新人女優賞、第28回日本映画批評家大賞・新人女優賞を受賞し、その演技力が業界関係者から高く評価される。
2019年は、第30回フジテレビヤングシナリオ大賞・大賞受賞作『ココア』(フジテレビ系)でドラマデビュー&ドラマ初主演を務め、映画『21世紀の女の子』内の『愛はどこにも消えない』(19/松本花奈監督)、映画『居眠り磐音』(19/本木克英監督)、主演映画『無限ファンデーション』(19/大崎章監督)に出演。
2020年は、アーティスト・sumikaの新曲「エンドロール」(20)のショートフィルムで主演を務めたほか、ドラマ『ピンぼけの家族』(BSプレミアム)でヒロイン、映画『もみの家』(20/坂本欣弘監督)で主演、ショートドラマ『これっきりサマー』(NHK)で主演を務める。特集ドラマ『うつ病九段』(BSプレミアム)にも出演。
2021年は、土曜ドラマ『六畳間のピアノマン』(NHK)のほか、映画『太陽は動かない』(21/羽住英一郎監督)、映画『ゾッキ』(21/竹中直人監督・山田孝之監督・齊藤工監督)、映画『彼女』(Netflixにて配信)、TBSドラマ『ドラゴン桜』に出演。また2022年放送の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK/三谷幸喜脚本)へ出演が決まっている。
その他、「キリン 午後の紅茶」イメージキャラクター、ソフトバンク「SoftBank学割」CMキャラクターを務め、現在は江崎グリコ「ポッキー」イメージキャラクターを務める。

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