BTSの所属事務所「HYBE」を始め、世界のエンタメを飛躍させる韓国企業。次なる戦略は?

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BTSの所属事務所「HYBE」を始め、世界のエンタメを飛躍させる韓国企業。次なる戦略は?

世界の音楽業界を驚かせた次なる戦略は、4月に発表されたイサカ・ホールディングスの買収。米国完全子会社であるHYBEアメリカを通じ、イサカ・ホールディングスとその資産(傘下のSB Projectsとマネジメント契約を結ぶジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデ、デミ・ロヴァートなど)、およびビッグマシーン・レーベル・グループの全株式を取得。2つの企業を統合することで、HYBEは音楽を中心に世界規模で活動する最大級のエンタテインメント企業となった。この買収による増資で新株が発行され、イサカ・ホールディングスやSB Projectの経営陣だけでなく、ともに企業躍進の原動力となってきたジャスティン・ビーバー、アリアナ・グランデらアーティスト、プロデューサーにも株が割り当てられている。

BTSが所属するHYBEは、ジャスティン・ビーバーらが原動力となってきたSB Projectsを傘下に持つイサカを買収
BTSが所属するHYBEは、ジャスティン・ビーバーらが原動力となってきたSB Projectsを傘下に持つイサカを買収写真:SPLASH/アフロ


もはやK-POPはアジアン・ミュージックの1ジャンルではなく、世界の音楽業界におけるメインストリームとなっている。それを裏付ける動きは映像業界にも広がっていて、今年5月には、米国のスタジオと韓国エンタメ企業の番組開発提携が相次いで発表された。

MGMのテレビ部門は、K-POPのグローバル化を意識した最新案件として、SUPER JOUNIOR、少女時代、SHINee、EXO、Red Velvetなどが所属する韓国のSMエンタテインメントと提携し、米国を拠点とするK-POPグループを発掘するオーディション番組を共同開発する。「アメリカで最も才能のある13歳から25歳までの男性新進アーティスト」を対象にオーディションを行い、合格者はソウルのSMキャンパスでK-POPのブートキャンプ・トレーニングを受講、NTCのサブユニット、NCT-Hollywoodを結成する。ダンス、歌唱力、スタイルなどのオーディション審査員はSMの創業者であるイ・スマン氏やNCTの現役メンバーが担当するという。現在協議が行われているMGMのAmazonによる買収劇が決着すると、この番組がAmazon Primeで世界配信される可能性もある。

Amazonによる買収が持ち上がるMGMは、SHINeeらが所属する韓国のSMエンタテインメントとオーディション番組を開発予定
Amazonによる買収が持ち上がるMGMは、SHINeeらが所属する韓国のSMエンタテインメントとオーディション番組を開発予定画像はSM Entertainment Group(@smtown)公式Instagramのスクリーンショット

また、6月に中南米カリブ海の39か国でサービスを開始するHBO Maxは、Fox「I Can See Your Voice」などを制作する韓国のメディア企業CJ ENMと、メキシコのEndemol Shine Boomdogと共同で、オーデション番組を開発する。MGMとSMエンターテインメントによる番組同様、ラテン・アメリカ全域から若手男性候補者を発掘し、韓国でK-POPのスター育成トレーニングを受けて世界デビューを果たすまでを追う。

いまや、グラミー賞でもビルボード・ミュージック・アワードでも授賞式の目玉アーティストとして出演するBTS。HYBEが主導するライブ・エンターテインメントの技術革新、そしてハリウッドのスタジオと韓国エンタメ企業との提携による世界的スター発掘と、K-POPが世界の音楽業界を次なるフェーズへと押し上げている。

文/平井 伊都子

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