菅野美穂、『明日の食卓』の初日舞台挨拶で「育児は毎日ギリギリで綱渡り」全力な夫婦喧嘩シーンも述懐
椰月美智子の同名小説を、菅野美穂主演で映画化した『明日の食卓』の初日舞台挨拶が、5月28日にイオンシネマみなとみらいで開催。舞台挨拶には、菅野、高畑充希、尾野真千子、和田聰宏、大東駿介、藤原季節、瀬々敬久監督が登壇。菅野は劇中で夫婦喧嘩をするシーンについて「夫婦のことは2人だけにしかわからないこともあって、留美子さんも積み重なったものがあったのかと」と育児の苦労について、自身も非常に共感できたと語った。
最初に瀬々監督は「今日、都の映画館の休業要請と休業のお願いがあってここへやってきました。理由なき要請しやがってバカヤロウ!ってのもありますが、ここへ来られて、また出会いがあり、うれしいです。僕はこんな時期でも、物語という宝物をプレゼントできると思っています」と観客に感謝しつつ、映画のすばらしさを訴えかけた。
本作は、同じ「石橋ユウ」という名の息子を持ち、子育てに孤軍奮闘する母親が追い詰められていく悲劇を描く衝撃作。菅野は、フリーライターで2人の息子を育てる留美子役を、高畑は若きシングルマザーでひとり息子を育てる加奈役を、尾野は年下の夫と優等生の息子に囲まれたあすみ役を演じた。
留美子の夫役を演じた和田は、夫婦喧嘩をして留美子に暴力をふるい、プールに投げ込むシーンについて「プールの水が汚かったので、僕は心配でした。でも、菅野さんは『全力で入れてください』と言うんです。だから僕はそれに応えて全力でやりました」とコメント。
菅野は「育児は毎日ギリギリで、綱渡りしていても、ちょいちょい落ちるんです。そういう怒りは私もわかりますし。喧嘩のシーンは確かにすごかったけど、極限状態のシーンだったので、和田さんがしっかり受け止めてくださったから、全力でできたかなと」と手応えを口にした。
また、高畑は最低の弟役を演じた藤原について「季節さんだからか、どうにも嫌いになれなくて。やられてることは最低ですが」と笑顔を見せる。藤原は高畑との共演シーンについて「本当に間近で見てて、自分、大丈夫かなと。体臭とかくさくないかなと心配してました。瀬々さんの映画に出るっていうので、においたつ感じが出ればいいなと思い、3~4日くらいお風呂に入ってなくて。現場で胸ぐらをつかまれてる時、風呂に入っていれば良かったと思いました」と告白。
瀬々監督は驚き「髪の毛がべとべとしてるなと思ってた」と言うと、高畑も「知らなくて良かったです」と笑顔を見せた。
また、尾野は夫役の大東と顔を合わせ「私たち関西人で、気を抜くと関西弁になってしまう危機感がありながらやってました」と言うと、大東も「関西弁のなかでもコテコテのほうで」と息の合った掛け合いを見せて会場を笑いに包んだ。
最後に菅野は、間引きされた劇場を訪れてくれた観客に感謝し「大きな声で劇場にいらしてくださいとは言いづらい世の中です。でも、物語の持つ力を私は改めて感じてるし、今日みなさんが劇場に来てくださったことにも、私は励まされました」と熱い想いを口にした。
取材・文/山崎伸子