明石家さんま「作り手がおもしろがるのが大切」渡辺歩監督が明かす、『漁港の肉子ちゃん』制作秘話
明石家さんまが直木賞作家の西加奈子の同名小説に惚れ込み、自ら企画・プロデュースを務めた『漁港の肉子ちゃん』(6月11日公開)。漁港の船に住むワケあり親子の姿を描いたハートフルコメディである本作は、大竹しのぶとCocomiをはじめ、バラエティに富んだ顔ぶれが声の出演を果たすことでも話題を集めている。そんな本作誕生の裏には、日本を代表するコメディアンであるさんまと、アニメ界きっての名手との深い信頼関係があったようだ。
メガホンをとった渡辺歩監督は、国民的アニメ「ドラえもん」のなかでも名作と名高い、劇場短編『帰ってきたドラえもん』(98)や『おばあちゃんの思い出』(00)を手掛け、長編でも『映画ドラえもん のび太の恐竜2006』(06)などで監督を務めた名手。その後も「宇宙兄弟」や「恋は雨上がりのように」などアニメファンから絶大な支持を集めたテレビアニメの傑作を世に送りだし、『海獣の子供』(19)では第74回毎日映画コンクールアニメーション映画賞や第23回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞に輝いた。
本作を監督するにあたっては、プロデューサーであるさんまとシナリオ作りから台本読み、コンテ確認などさまざまな打ち合わせを1年近くにわたって重ねてきたという。そのなかで渡辺監督がもっとも印象に残っていると語るのが、脚本の大島里美とともにさんまと初めて打ち合わせをしたときの出来事。「まわりの誰かがコンセプトやマーケティングの話をしたら、さんまさんが『いや、そういうのはええねん』って。『作り手がおもしろいと思うことが大切だから』とおっしゃったんです」。
その言葉でクリエイターにとってベストな環境で制作が進められることを確信した渡辺監督は「さんまさんがアニメーションにチャンスを下さったことがなによりうれしかった。『アニメにしたい!』というその想いに、とにかく応えたい気持ちが大きかったです」と明かし、さんまと信頼関係を深めながら制作に対する熱を高めていったとのこと。
その後も、さんまはほぼすべてのアフレコ収録に参加。渡辺監督と意見交換をする際には、互いに作品への熱意を確かめ合ったのだとか。収録現場では、肉子ちゃんの鼻歌で『愛の讃歌』を歌うシーンをはじめ、さんまがアイデアを追加したシーンがたくさんあるという。「台詞も、隙あらば、もっとおもしろい言葉を言えるんじゃないかって。最後の最後に芸として落とし込む瞬間までを考えていらっしゃるので、いろんなアイデアがカードのなかからポンポンと出てくるんです」と、収録のライブ感に感心する。
アドリブなど突然なリクエストをされた大竹しのぶは、渡辺監督とさんまがそろう現場に対して、「渡辺監督も、さんまさんがギャグを言っているその隣で、きちんと細かく演出してくださって。大事なことはしっかり言ってくださったので、やりやすかったですね。さんまさんも監督も、お互いに尊敬しあっている感じが伝わってきて、とてもいい現場でした」と満足感を明かした。
渡辺監督とさんま、『漁港の肉子ちゃん』という物語に強く魅せられた2人によって生まれた本作に、ますます期待が持てそうだ。
文/久保田 和馬
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