「全裸監督」武正晴総監督が明かすロケ撮影へのこだわり「80年代なら猥雑な新宿、90年代は渋谷をメインに」 - 2ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
「全裸監督」武正晴総監督が明かすロケ撮影へのこだわり「80年代なら猥雑な新宿、90年代は渋谷をメインに」

インタビュー

「全裸監督」武正晴総監督が明かすロケ撮影へのこだわり「80年代なら猥雑な新宿、90年代は渋谷をメインに」

なくなってしまった空気を再現できる場所を探して

武監督は渋谷以外にも、新宿歌舞伎町に建つ風林会館の外観とその前の路地、新宿のガード下でのロケにこだわったという。「風林会館も建物自体は変わってないし、90年代のいかがわしさの象徴でもある。あそこのそばに古谷組の事務所があるというのは一番リアリティがありますから」。

夜になって怪しい雰囲気が漂う新宿歌舞伎町のSAISONビル前付近
夜になって怪しい雰囲気が漂う新宿歌舞伎町のSAISONビル前付近[c]TLB

そこに武監督の想いも込められていることは、このあとの言葉からも伺うことができた。「90年代初めの新宿を再現したかったんです。僕も覚えているけれど、あのころはあのガード下を歩くと酔っぱらいがいたり、ストリートミュージシャンがいたり、終電を逃した金のない奴らが寝ていたりして…。映画館もたくさんあったので、映画や演劇、音楽の匂いが漂っていたし、村西さんが撮ったスケベなものも店頭にあふれていた。一切なくなってしまった猥雑なそういう空気を再現できる場所を探していったら、あのガード下の地下道しか残ってなかった。終電後の夜中に撮影しなければならなかったので大変だったけど、重要なシーンなので、そこは手を抜きたくなかったんですよね」

いかがわしい商品を売る露店や壁の落書きなどで90年代を再現
いかがわしい商品を売る露店や壁の落書きなどで90年代を再現[c]TLB

ロケ撮影だからこその圧巻の映像「あのスケール感や迫力は本物のダムじゃないと出ませんよ」

そしてもう一つ。武監督が今回最もロケーション撮影に執着した、いや、ロケーションでしか撮れなかったと語るのは、「全裸監督」シリーズ全体のクライマックスとも言える第8話に登場する巨大なダムだ。

映像を観た時の興奮と衝撃が薄れるのでここで多くは書けないが、「原作にも出てくるダムのシーンが一番やりたかったし、あのスケール感や迫力は本物のダムじゃないと出ませんよ」と武監督の声にも自然と力が入る。


「それで制作部と美術部のスタッフが関東近郊のダムの写真を見ながら場所を絞り込んで、そこから撮影させてくれる希少なダムを見つけてもらいました。最終的には、群馬県の霧積ダムでロケをしたんですけど、凄まじい撮影でした。村西がトシと対峙する一連のシーンではセリフ量もものすごくあったけれど、山田さんは特にスゴかった。彼の最大のクライマックスですが、とてもいい画が撮れましたね」

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驚いたのは、鑑賞時に絶対にロケーションだと思っていたシーンがCGで作られたものであると聞いた時だ。巨大なパラボラアンテナが印象的な衛星放送の施設について「あれも関東近郊で撮ったんですか?」と尋ねると、武監督は「CG、CG」とニヤニヤしながら「実際はなにもないただの原っぱで、そこにCGでアンテナを描き込んでもらったんです」と教えてくれた。

「調べてもらったら、衛星放送のアンテナは意外と街中にあるんです。ただ、あのシーンで重要だったのは、ヘリポートのある高台だったので。あそこと渋谷のスクランブル交差点のCGは、制作に1年ぐらいかかっています。でも、観る人にはそんなこと関係ないし、知る必要のないこと。実際にあるように見えたほうがいいですしね」


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