「ついに怪獣王を決める時が来た」『ゴジラvsコング』監督が明かす、勝敗を明確に描いた理由
「怪獣に夢中だった頃の純粋な気持ちを取り戻せた」
「ゴジラ」シリーズやコングのデビュー作『キング・コング』(33)など、歴代の怪獣映画へのオマージュが盛りこまれた本作。イースター・エッグを尋ねると、探す楽しみを奪いたくはないのですが…と前置きをして一つ教えてくれた。「地下空洞に到着したHEAVが、コングに巻きついたワーバットに大量のミサイルを発射するシーンがあります。細い噴煙を引きながら被弾する映像は、何十回も観た大好きなアニメ『超時空要塞マクロス』へのオマージュなんですよ」。
ジャンル愛あふれるウィンガードに、もう一度「ゴジラ」が監督できたらどんな怪獣を出すか聞くと意外な答えが返ってきた。「昭和ゴジラも大好きだけど、いちばん好きなのはラストでボロボロ泣くほど感動した平成ゴジラの『ゴジラvsデストロイア』です。今回も撮影中は、気分を盛り上げるためずっとこの映画のサントラを聴いていました。だからデストロイアも出したいけど、密かなお気に入りはヘドラ。『ゴジラ対へドラ』には、ゴジラが落ちた穴にヘドラが泥を流し込み埋めてしまうシーンがありますよね。僕は閉所恐怖症なので、初めて観た時はトラウマになるほど怖い思いをした。今作にもヘドラを出したかったのですが、モンスターバースで生かすのは難しいので諦めたんです。もしまた撮れるなら、コングと再戦させたり、タッグで別の怪獣と戦うとか…考え出したらきりがないです!」と笑う。
最後に、憧れの2大怪獣頂上決戦を撮り終えたいまの気持ちを聞いてみた。「僕らの子ども時代は、いつもテレビでゴジラやコングの映画が流れていました。彼らを目にしなかった時期の記憶がないくらい、僕にとってゴジラとコングはとても身近な存在なんです。『ゴジラ』シリーズは特撮を使ったブロックバスターの元祖だと思いますし、この映画に参加したことで、ジャンルに対する愛、もっといえば僕の映画愛そのものに火をつけられた思いがしました。怪獣に夢中だった頃の純粋な気持ちを取り戻せたという意味でも、すばらしい体験をさせてもらえましたね」。
取材・文/神武 団四郎