日本映画初の脚本賞受賞!濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』がカンヌ国際映画祭で4冠の快挙

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日本映画初の脚本賞受賞!濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』がカンヌ国際映画祭で4冠の快挙

村上春樹の短編小説を『寝ても覚めても』(18)の濱口竜介監督が西島秀俊を主演に迎えて映画化した『ドライブ・マイ・カー』(8月20日公開)が、現地時間17日に閉幕した第74回カンヌ国際映画祭で日本映画として初めて脚本賞を受賞。また、独立賞である国際映画批評家連盟賞とAFCAE賞、エキュメニカル審査員賞も受賞し、カンヌ4冠の偉業を成し遂げた。

村上春樹の同名短編小説を映画化した本作
村上春樹の同名短編小説を映画化した本作[c]2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

本作は、妻が突然この世からいなくなってしまった喪失感を抱えて生きる、俳優で演出家の家福が、ある過去を持つ寡黙な専属ドライバーとの出会いをきっかけに、それまで目を背けてきたことに気付かされていく希望と再生の物語。日本映画として今年唯一コンペティション部門に出品され、現地時間7月11日に公式上映。海外メディアから大絶賛評が寄せられ、「Screen International」誌が掲載する星取表では『パラサイト 半地下の家族』(19)以来のハイスコアを獲得していた。

商業デビュー作となった『寝ても覚めても』が第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された濱口監督。昨年行われた第77回ヴェネチア国際映画祭では、共同脚本を務めた『スパイの妻<劇場版>』が銀獅子賞(監督賞)を受賞。そして今年春に行われた第71回ベルリン国際映画祭では、メガホンをとった短編集『偶然と想像』が日本映画34年ぶりの審査員グランプリ(銀熊賞)を受賞。そして今回、3年ぶり2度目のカンヌ国際映画祭において見事に脚本賞受賞と独立賞3賞に輝く快挙を果たした。


コンペティション部門に出品された全24作のうち最も優れた脚本に贈られる脚本賞を、日本人ならびに日本映画が受賞するのは史上初めて。なお、同賞は共同脚本を務めた濱口監督と大江崇允に贈られている。また国際映画批評家連盟賞を日本人監督が受賞するのは黒沢清監督の『回路』(01)以来20年ぶり5人目。エキュメニカル審査員賞は河瀬直美監督の『光』(17)以来4年ぶりとなり、2019年に新設されたAFCAE賞は日本映画初受賞。

『ドライブ・マイ・カー』は8月20日(金)公開
『ドライブ・マイ・カー』は8月20日(金)公開[c]2021 『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

授賞式後の記者会見で「村上春樹さんが書かれた『ドライブ・マイ・カー』という物語の登場人物の魅力を決して損なわないようにと考えていました。家福とみさき、この2人がすごく抑制された人間性で、自分のことをあまり喋るわけじゃないんだけれども、それぞれ腹のなかに渦巻いている感情というものはあって。それがあるきっかけて出てきてしまう。内にある物があふれ出してくるという流れを一つの軸として考えていました」と、本作の脚本づくりで重視した部分について語った濱口監督。

世界の名だたる監督たちがしのぎを削った映画祭で、目覚ましい成果を収めた濱口監督。今後さらに世界からの注目が高まることになるだろう。本作の日本公開にも期待は膨らむばかりだ。

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