千差万別の映像表現が光る!隆盛を極める中国アニメーション、近年の注目作まとめ
ここ数年、日本でも目に触れる機会が多くなり、じわじわと注目を集めている中国のアニメーション。古代中国を舞台にした時代劇「魔道祖師」など、日本のみならず世界的なヒット作も誕生している。ここでは、近年の中国アニメ映画から、特徴的な表現を持つ作品を紹介していきたい。
絵はシンプルだがアクションは超絶!『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来』
中国アニメの中でも、日本で大きな話題を集めたのが『羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来』(19)だ。元々、小規模で公開された字幕版が話題となり、日本語吹替版が作られるに至るという特殊な形でロングヒットを記録した本作は、2011年から動画サイトで公開されていたWEBフラッシュアニメの映画化。WEBアニメの前日譚にあたる物語が描かれた作品だ。
人間の自然破壊により森を追われてしまった黒猫の妖精シャオヘイは、新たな仲間たちと出会い楽しく過ごしていたところ、不審な動きをする妖精を捕らえる人間の執行官ムゲンに捕まってしまう。だが、彼との時間を重ねるなかで、シャオヘイは人間と妖精の未来について思いを巡らせていく。
フラッシュアニメが原作ということで、極めて少ない線で描かれたキャラクターデザインが特徴的な『羅小黒戦記』。シンプルなキャラクターだからこそ、スクリーンを縦横無尽に駆け巡るようなダイナミックな動きが可能となっており、スピーディーで迫力のあるアクションは見ものだ。
洗練されたハリウッド的な手触りが光る『フェイフェイと月の冒険』
手描きアニメの『羅小黒戦記』に対し、CG表現を突き詰めたのが『フェイフェイと月の冒険』(20)だ。本作は、Netflixオリジナルの米中合同作品。今年のオスカーでは長編アニメーション部門にノミネートされたことも記憶に新しい。
ストーリーは、幼少期に亡き母親から聞いた“月の女神”の話を信じている少女フェイフェイが、女神の存在を証明するために豊かな発想を駆使した自作のロケットで月へ旅立ち、そこで思いがけぬ冒険をすることになるというものだ。
アニメーション制作を手掛けるのは、中国のパール・スタジオ。この会社は、ドリームワークス・アニメーションと手を組む形で設立された企業で、かつてオリエンタル・ドリームワークスとして『カンフーパンダ3』(16)などを手がけており、CG表現の質の高さはお墨付き。月でのパーティーシーンなど随所でハリウッド的な手触りを感じられ、CGアニメが盛り上がりを見せている中国アニメ界の中でも、特筆すべき1作となっている。