松坂桃李と鈴木亮平が「唯一無二」と語る、『孤狼の血 LEVEL2』白石和彌監督の現場|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
松坂桃李と鈴木亮平が「唯一無二」と語る、『孤狼の血 LEVEL2』白石和彌監督の現場

インタビュー

松坂桃李と鈴木亮平が「唯一無二」と語る、『孤狼の血 LEVEL2』白石和彌監督の現場

昭和の終わりを舞台に、自らの正義を信じるヤクザと警察のアウトローたちの抗争をコンプライアンス度外視の暴力描写で描き、日本映画界に衝撃を与えた前作から3年。柚木裕子の原作小説シリーズにはない完全オリジナル・ストーリーの続篇『孤狼の血 LEVEL2』(8月20日公開)が、いよいよスクリーンに放たれる。優等生からワイルドに変貌を遂げた日岡を演じた松坂桃李と、日本映画史に残る悪役、上林に扮した鈴木亮平。作品ごとにまるで別人格かのごとく変幻自在に演じ分け、いまや日本を代表する実力派俳優としてその名を轟かせる2人が、白石和彌監督のもとで怒涛のカー・アクションや肉弾戦を繰り広げ、前作を超えるべく大奮闘している。2人に撮影の裏側や、「白石組」への想いを語ってもらった。

白石監督と松坂が組むのは3作目、鈴木は『ひとよ』(19)以来の白石組だった
白石監督と松坂が組むのは3作目、鈴木は『ひとよ』(19)以来の白石組だった撮影/杉映貴子

『孤狼の血 LEVEL2』では、前作で役所広司が演じたベテラン刑事、大上の遺志を継ぎ、裏社会でも一目置かれる存在となったマル暴の刑事、日岡(松坂)の前に、親分を殺されたヤクザの上林(鈴木)が出所してきたことから、新たな抗争の火ぶたが切って落とされる。

「白いスーツとサングラスが、亮平さんに最高に似合ってました」(松坂)

殉職した大上に代わってヤクザと関係をもち、裏社会で一目置かれる存在になった日岡
殉職した大上に代わってヤクザと関係をもち、裏社会で一目置かれる存在になった日岡[c]2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会


――続編にあたっての心境は?

松坂「『孤狼の血』で役所さん扮する大上が持っていた狼の柄のライターがカッコよくて、『それ、いいですね!』ってことあるごとにアピールしていたら、クランクアップの時に役所さんが『あげるよ』ってライターをくださって。一応ちゃんとスタッフの方にも確認を取ったうえで正式にいただいたんです。それ以来あのライターは僕にとってお守りみたいな存在で、ずっと肌身離さず持っていたので、やっぱり新品とは手の馴染み具合が全然違うんですよ。それを3年越しにカメラの前で使えるというのはうれしかったんですが、前作で役所さんが担っていた役回りを続編では僕が担うのかと思ったら、正直ぞっとしたんです。今回の撮影中も、大上さんにどこからかずっと見られているような、妙な緊張感が漂っていましたね」

鈴木「僕は続編からの参加なので、怖かったですね。上林が怖いというよりも、彼の闇とどこまで向き合えばちゃんと共感できるレベルまで行けるのかって考えると、結構自分の心も削らなきゃいけない気がして。メチャクチャできるわけではないので、『孤狼の血』のリズムを身体に染み込ませるためにも前作を観直したんですが、『役所広司さんは俳優界の世界チャンプだ』ってことを、改めて思い知らされました。例えばボクシングを始めるまで世界チャンプのすごさがわからないけど、一歩その世界に足を踏み入れた途端、そのとんでもなさに気付かされるような感覚なんです。最後まで全員が大上さんの影を背負いながらやったからこそ、緊張感のある作品が生まれたんじゃないかな」

――鈴木さんが上林役を演じると知ったときはどう思いましたか?

松坂「俳優の仕事って、やればやるほど再会の方が多くなるもので、以前『ガッチャマン』でご一緒した時は仲間の設定だった亮平さんと今回こういう形で再会できたのはうれしかったし、なにより亮平さんが上林となると『これは一筋縄ではいかないだろうな』って。ちなみに現場で会ったときの僕の第一声は『うわぁ、もみあげがない!』(笑)。きっとあのビジュアルも、亮平さんご自身で上林の見え方をいろんな角度から入念に研究された結果なんだろうなぁと思うと、同じ俳優としてすごく刺激を受けましたし、役や作品に対する探究の仕方は、無制限であるということを改めて教えていただきました。白いスーツとサングラスも、最高に似合ってましたからね。『この人には勝てない』と思わせる説得力がありました」

――上林のビジュアルはご自身で考えたのですか?

親分の死の原因が日岡にあると知った上林は復讐に乗り出す
親分の死の原因が日岡にあると知った上林は復讐に乗り出す[c]2021「孤狼の血 LEVEL2」製作委員会

鈴木「『ソナチネ』の時の北野武さんだってもみあげがないですし、それほど奇抜な髪型ってわけでもないと思いますが(笑)、撮影の1年くらい前に準備稿をもらって最初に思い浮かんだのがあの髪型で、『なんとなくこんな髪型にしようかと考えています』という話を白石監督にしたんです。準備稿では上林のキャラはいまよりもっとめちゃくちゃで、もはや人間として描かれていなかったこともあってインパクトがある方がいいかなと思ったのと、自分の耳がちょっと個性的な形をしているので、せっかくならそれを活かせる髪型にしようかなって。でもいざ最終稿があがってきたら結構人間に寄っていたので、やっぱりやめて普通の髪型に戻そうと思ったんですが、監督のなかでイメージが出来上がってしまっていたようで、「いや、あの髪型でいきましょう」とそのまま行くことになってしまったんです。続編は悪役が巨大じゃないと盛り上がらないので、『上林組の映画にしちゃれい!』というくらいの勢いで、いかに日岡、いや松坂桃李を追い込めるか、という使命感に燃えてましたね。『たとえこの映画を観た人全員が上林のことを嫌いになっても、僕だけは上林を愛してあげよう!』と思って臨みました。彼の目線から世界を見てみると、周りが悪人だらけだったんですよ。特にコイツ(日岡)ね!」

松坂「アハハハ(笑)」


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