『千と千尋の神隠し』へのオマージュ!ヒュー・ジャックマン主演『レミニセンス』映像を先取り
<コメント>
●山崎貴(映画監督)
「SFとは特殊な設定がつきものだ。そして、そのシチュエーションでしか語れない物語であるべきだが、なかなか難しい。しかし、それを見事にやってのけた!あの最後の甘美なシーンが全てを呑み込んだ。誰にでも共感できる、映画でしか描けない感情がそこにあった」
●伊藤智彦(アニメーション監督)
「劇中世界に誘われる圧巻のファーストカット。その後に展開する静謐なフィルムノワールの傍には、まるで生命の有り方を問うように常に水が描かれていた。主人公が下す決断の果てに映画冒頭を思い出してほしい。世界の見え方が変わる」
●石川慶(映画監督)
「SFと聞いてたのにめっちゃハードボイルドだった。と思ったらめっちゃSFになって翻弄されてたら、最後のメッセージにまさかの涙。おそらく先入観は捨てて、素直に映画に"潜入"するのが正解」
●よしひろまさみち(映画ライター)
「気象変動による海面上昇、それにともなう大戦、記憶の映像化……どれもありえないとはいえない世界で繰り広げられるフィルム・ノワール。ド派手なSF設定と甘美なストーリーに酔いしれる」
●斉藤博昭(映画ライター)
「『記憶潜入』の斬新なSFサスペンスとして向き合ったら、意外や意外、エモーショナルな方向に心がざわめいた!甘い記憶に囚われる人生。未来への覚悟を決める人生……。悩み格闘するヒュー・ジャックマンに感情を持っていかれ、ミュージカルの隠れた名曲に酔いながら、観る人それぞれの生き方も問われる異色の後味!」
●矢崎由紀子(映画評論家)
「『さらば愛しき女よ』や『ブレードランナー』の遺伝子を受け継ぐ正統派のハードボイルド。赤いドレスのファム・ファタルを演じたレベッカ・ファーガソンと、滅びの美を湛えたフロリダの情景に心奪われた。人々が過去に救いを求める時代設定が、コロナ禍の終わりが見えない今の気分と重なる」
●杉山すぴ豊(アメキャラ系ライター)
「ハリソン・フォードの『ブレードランナー』、デカプリオの『インセプション』の次はヒュー・ジャックマンの『レミニセンス』!世界観に驚き、謎ときにワクワクし、主人公の最後の選択に心が震えました!」
●山崎伸子(映画ライター)
「これは愛の映画。クリストファー・ノーラン監督作の屋台骨を支えてきた弟のジョナサン・ノーラン製作で、時間軸のギミックが冴えるノーラン作品の系譜にありつつも、特筆すべきは、リサ・ジョイ監督の溢れ出る母性が、ドラマに深みを与えた点だ。先が見えない世の中で、愛する者を守り抜こうとする強い意志に、未来への希望を見た」
●SYO(映画ライター)
「水没都市に“入って”いく鳥肌もののOPで、完全に世界に“入った”。他者の記憶に潜入し、追体験する行為は、観賞体験そのもの。僕たちが映画に魅せられる“真実”が、全てそこにあった」
●金澤誠(映画ライター)
「温暖化によって、やがて水没する運命にある近未来の探偵物語。正体不明のファム・ファタール、彼女を追う記憶を探る探偵、飲んだくれだが頼りになる相棒と魅力的なキャラクターが登場する。かつてのフィルム・ノワール的な要素をちりばめながら、その核心にあるのは男の愛の純情である。タフな男のやせ我慢を過去のものにした、女性監督ならではの視点が興味深い、ちょっと甘口だがほろ苦い、変化球のラブファンタジーだ」
●生武まり子(Billboard JAPAN)
「CGとは思えない圧倒的な映像美と『GOT』『ウエストワールド』の音楽を手がけたラミン・ジャヴァディによる壮大な音楽に序盤から飲み込まれました。SF映画好き、海外ドラマ好きの方にはたまらない作品だと思います」
●松崎健夫(映画評論家)
「SNS情報の軌跡を辿ることで、見知らぬ誰かの素性を知ることがある。それは情報の断片に過ぎないが、我々は己に都合の良い情報へと変換しがちだ。そういう意味で、この映画における近未来的な“記憶の探訪”は、我々の身近に存在する情報への接し方とどこか似ている」
●神武団四郎(映画ライター)
「ロジカルでミステリアスでロマンチック。クリストファ―・ノ―ラン一派は、どうしてこんなに魅惑的な映画ばかり撮れるんだろう」
●小野寺系(映画評論家)
「間の記憶とは、一編の長大な“映画”なのか。SFの姿を借りた、この甘美なフィルム・ノワールの“記憶”のなかに、いつまでも浸っていたい」
●柳下毅一郎(映画評論家)
「取り戻せない過去をひたすら後ろ向きに回想する、甘く危険な快楽を教えてくれる」
●猿渡由紀(L.A.在住映画ジャーナリスト)
「切ないとも、悲しいとも違う、なんとも言えないラストシーン。近未来を舞台にした大きな世界で今作が問いかけるのは、愛と執着の境目、思い出にしがみつくのは健全なのかといった、普遍的な人間の事柄。あの感動のシーンにそれらがすべて凝縮されている」
●村松健太郎(映画文筆屋)
「ハードボイルド小説を思わせるノワール映画と独創的な世界観のSF映画の要素のハイレベルな融合。ジョナサン・ノーラン、やはり恐るべし!!」
文/久保田 和馬