期待作が一挙上映!女性クリエイターの躍進が際立った、第78回ヴェネチア国際映画祭を振り返り
イタリア現地時間9月1日から約10日間にわたり開催されていた第78回ヴェネチア国際映画祭が閉幕。コンペティション部門金獅子賞にフランスのオドレイ・ディワン監督の『Happening(英題)』が、監督賞にジェーン・カンピオン監督の『The Power of the Dog』、脚本賞に女優のマギー・ギレンホールの初監督作『The Lost Daughter』が選ばれ、女性クリエイターに賞賛が集まる結果となった。
昨年に続き、フィジカル開催となった第78回ヴェネチア国際映画祭の審査委員長は韓国のポン・ジュノ監督、審査員には昨年『ノマドランド』(20)で金獅子賞を受賞したクロエ・ジャオ監督らが参加した。今年のコンペティション部門には、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督の『Parallel Mothers(英題)』、ポール・シュレイダー監督の『The Card Counter』、クリステン・スチュワートが故ダイアナ妃に扮した『Spencer』、地元イタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督の『The Hand of God(英題)』など、2021年秋以降に映画界の話題になりそうな作品が多く揃っていた。
また、アウト・オブ・コンペティション部門では、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、ゼンデイヤ、ハビエル・バルデム、オスカー・アイザック、ジョシュ・ブローリンらオール・キャストによる『DUNE/デューン 砂の惑星』(10月15日公開)、エドガー・ライト監督の『ラストナイト・イン・ソーホー』(12月公開)などが上映された。
ベネディクト・カンバーバッチ主演、監督賞受賞の『The Power of the Dog』、審査員大賞の『The Hand of God(英題)』、脚本賞受賞の『The Lost Daughter』はそれぞれNetflixで配信される。
金獅子賞のディワン監督の『Happening(英題)』は人工中絶をめぐる物語で、日本で7月に公開されたエリザ・ヒットマン監督『17歳の瞳に映る世界』(公開中)にも通じるようなテーマを扱う。フランスのディワン監督は今作が監督第2作目で、図らずも7月に行われた第74回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『Titane』のジュリア・デュクルノー監督と同じく、第2作目のフランス人女性監督に大賞が授けられる結果となった。
第78回ヴェネチア国際映画祭 主な受賞結果
金獅子賞(大賞):『Happening(英題)』(オドレイ・ディワン監督)
銀獅子賞(審査員大賞):『The Hand of God(英題)』(パオロ・ソレンティーノ監督)
銀獅子賞(監督賞):ジェーン・カンピオン監督 / 『The Power of the Dog』
女優賞:ペネロペ・クルス / 『Parallel Mothers』(ペドロ・アルモドバル監督)
男優賞:ジョン・アルシラ / 『On the Job: The Missing 8』(エリック・マッティ監督)
脚本賞:マギー・ギレンホール監督 / 『The Lost Daughter』
文/平井 伊都子