「非の打ちどころがない作品」『アイダよ、何処へ?』ジュバニッチ監督&巨匠マイク・リー監督の対談映像が到着
故郷ボスニアの紛争の傷跡を描き続けるヤスミラ・ジュバニッチ監督による、本年度アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた『アイダよ、何処へ?』が9月17日(金)より公開。このたび、ジュバニッチ監督と『秘密と嘘』(96)がカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した巨匠マイク・リー監督との貴重な特別対談映像が到着した。
戦後ヨーロッパで最悪の悲劇となった1995年に起きた集団虐殺事件「スレブレニツァの虐殺」。数日間のうちに約8000人ものボシュニャク人(イスラム教徒)が殺害された惨劇の真実に迫った本作では、10代の時にボスニア紛争を生き抜いたジュバニッチ監督が夫と息子を必死に守ろうとする国連通訳の女性アイダを主人公に、綿密なリサーチに基づき“ジェノサイド=集団虐殺”というセンシティブなテーマに取り組み、19年ぶりにボスニア映画として米アカデミー賞にノミネートされた。
『ピータールー マンチェスターの悲劇』(19)でイギリス史上最悪といわれる“ピータールーの虐殺”の全貌を明かしたマイク・リー監督は、かねてよりジュバニッチ監督を絶賛しており、このたび到着した対談映像では本作について「圧倒された。あらゆる点が見事に成し遂げられ驚くほど非の打ちどころがない作品だ」と高く評価。また「政治的な反対を押しのけて映画を制作することは、映画監督にとって厄介であると同時にチャンレジ精神を刺激される部分でもあるが、粘り強く多くの障害と格闘したジュバニッチ監督には心からの敬意を表したい」とコメントしていたリー監督は、映像でもジュバニッチ監督へ向け「我々も あなたのように映画のために闘う必要がある。扱わねばならない題材があるということだ。それはすばらしく重要で明白な特権だ」と愛情のこもったエールを送り、さらに政治的な反対や困難を極めた映画制作をどのように進めたのか、そして貴重なそれぞれの映画作りへの姿勢を語っている。
大手映画批評サイトのロッテントマトでは100%フレッシュを獲得している本作。わずか四半世紀前のボスニアで何が起こったのか?ジュバニッチ監督渾身の真実に迫った衝撃作を、ぜひスクリーンで目に焼きつけてほしい。
文/富塚沙羅