古田新太&松坂桃李、『空白』出演の決め手は“お互いの存在”「こんな絡み方ができるなんてそうそうない」
「古田さんの演じる添田は、たたずんでいるだけで恐ろしい」(松坂)
ーー吉田監督は、「味があってどこかセクシーで、迫力もあってなにより芝居がうまい人」ということで「古田さんしかいない」と思われたそうです。「添田と同じ匂いを感じた」とも話していましたが、古田さんご自身は添田に共感する点や、添田的な要素はあると思いますか。
古田「オイラは娘にも優しいし、奥さんと別れないように努力だってする。コミュニケーションもスキンシップもきちんと取る人だから、まったく添田的な部分はないです。そもそも自分のパーソナリティーにはない人間を演じるのは、めちゃくちゃ楽しいんです。桃李に空き缶ぶつけたりしてますから(笑)。もしオイラが添田の立場になったとしたら、青柳に対して『テメーのせいだ!』という怒り方はするかもしれないけれど、元奥さんや周囲の人に逆ギレしたりすることは絶対にしないです」
ーー添田は青柳を執拗に追いかけ、恫喝し、青柳はそれによって疲弊していきます。添田の迫力があまりにもリアルで恐ろしかったのですが、古田さんのお芝居を目の当たりにして、松坂さんはいかがでしたか?
松坂「本当に怖かったです(笑)。台本を読んで頭のなかで想像していたよりも、古田さんから現場で発せられるものはずっと濃度の高いものでした。青柳がスーパーを出たら、外に添田が立っていたりするんですが、あれは本当に怖かったですね。古田さんは(撮影地の)蒲郡の土地にしっかりと馴染んでいて『こういう人、いるよな』という空気をまとっていましたし、たたずんでいるだけで恐ろしい。『うわ!またいる!ああ、もうやめてほしい…』と切実に思うような怖さがありました」
古田「やっぱり“なにもしない人”というのが、一番怖いんですよね。そこで“眉間に皺を寄せる”なんていう芝居をしたら、野暮。無表情の人がジーッと見ている。それが一番怖いなと思う。でも、オイラはカメラがストップしたら気のいいおじさんになりますから(笑)」
松坂「はい、すごく気のいいおじさんでした(笑)。監督も明るい方なので、いい緊張と緩和のある現場だったなと思います」