松坂桃李、バイト時代の同僚エピソード明かす!古田新太「『空白』は“あんな人いるよね”としゃべれる映画」
古田新太主演、松坂桃李共演の映画『空白』の初日舞台挨拶が、9月23日に新宿ピカデリーで開催され、古田、松坂、田畑智子、藤原季節、伊東蒼、寺島しのぶ、吉田恵輔監督が登壇。重い内容に反して、古田は「非常に楽な楽しい現場でした」と笑顔を見せた。
本作は、第43回日本アカデミー賞3冠を獲得した『新聞記者』(19)などのスターサンズ、河村光庸プロデューサーが企画し、『ヒメアノ~ル』(16)や『BLUE/ブルー』(21)などの吉田恵輔監督がオリジナル脚本で挑んだヒューマンサスペンス。中学生の娘を亡くした父親の添田(古田新太)が、恐るべきモンスターと化していく。
現場を心から楽しんだという古田は「なるべくNGを出さないようにと滞りなく撮影をして。ものすごいとげとげしいシーンばっかりだったので、その反動で終わったらすぐに飲みにいこうと言う感じでした。でも桃李は役作りをする人なので…」と一緒に飲みに行ってくれなかったという松坂をチクリ。
添田に責め続けられる青柳役を演じた松坂は、古田とのシーンについて「毎シーン毎シーン、カロリーの消費量が高いんです。とてもじゃないけど、飲みに行く気力が湧かない(苦笑)。疲弊しきってそのままホテルに帰ってたんですが、なぜ監督含めて皆さんが飲みに行けるのかと不思議で仕方なかったです」と苦笑い。
松坂は「ずっと謝っていたなと。ずっと『すいません』『ごめんなさい』と言っていました」と撮影を振り返ると、古田から「一番辛かったのは、(寺島)しのぶさんとのシーンじゃないの?」とツッコむ。かなり圧の強いコミュニケーションで青柳に対峙する草加部麻子役を演じた寺島は「それ言う?」と笑う。
松坂は草加部役について「僕、本当に学生時代、スーパーでバイトをしていたことがあって、一緒に働いていた方とその雰囲気がすごく似てました。距離感や間合いのとり方もものすごくリアルで、当時のバイト時代を鮮明に思い出すかのようなやりとりで、そのままのリアクションで行ける感じでした」とコメント。
寺島は「すごくうれしいです。普段、私は人間観察をするのがすごい好きなんですが、今回、こういうおばさんがいたら絶対いやだよねっていうのを集結した、草加部役さんをやらせていただきました。でも、スクリーンのなかの草加部役さんはとっても必死なんです」と擁護しつつ、松坂について「撮影現場で距離がとられてました」と苦笑いした。
名キャストを束ねた吉田監督は「キャスティングってスケジュールが合わなかったりするんですが、一番最初にお願いしたい方々が全員揃ってくださった。あとは見るだけ、この人たちがいれば、監督ってあまり必要ない。だからすごい僕は楽でした」と笑顔で語った。
本作について松坂は「僕自身は奥のほうまで刺さって、観終わったあと、本当にズンと重くなりましたが、皆さんにもひっかかりモヤモヤがあったら、それを話して消化してほしいです」と語ると、古田も「モヤモヤした映画をぜひ観てくださいっていうのもなと(苦笑)。でも、いまこういうご時世で、『あんな人いるよね』とか、みんなでしゃべれるような映画だったと思うし、気持ちが揺れる映画だったと思うので、観終わったあと、マスクしておしゃべりしてほしいなと思います」と訴えかけた。
取材・文/山崎伸子