栗田貫一&山寺宏一が語り合う、2代目の葛藤と「ルパン三世」50年目の“船出”「いまでも『カリオストロの城』に立ち返る」

インタビュー

栗田貫一&山寺宏一が語り合う、2代目の葛藤と「ルパン三世」50年目の“船出”「いまでも『カリオストロの城』に立ち返る」

「納谷さんには“リスペクト”という言葉では表せないほどの想いがある」(山寺)

ーー栗田さんは、1995年に山田さんからルパン役を受け取りました。国民的キャラクターを引き継ぐということは、想像を絶するようなプレッシャーがあったのではないでしょうか。

栗田「やはり小林清志という人が、次元のことを大好きなわけです。次元大介を作りあげて、50年もその役柄を背負ってきた。その重みというのは、すごいことだと思います。僕は、山田さんが亡くなるまではモノマネをしていただけなんです。突然ルパンをやらせていただくことになり『できるわけがない』というところから始まりました。そしていまでも僕の胸のなかには山田さんがいて、そのうえでルパンを作っているわけです。それはモノマネをするということではなくて。きっと山ちゃんも、納谷さんに対して同じような想いがあると思います。おそらく大塚明夫も、ずっと小林さんの存在を背負っていくはず。それはしょうがないことだと思っています」

ーー栗田さんがルパンを演じるようになって26年が経ちましたが、やはりいまでも山田さんの存在は大きなものなのですね。

栗田貫一は「ルパンは太陽のような存在」と語った
栗田貫一は「ルパンは太陽のような存在」と語った原作:モンキー・パンチ [c]TMS・NTV

栗田「ルパンは山田さんが作ったものですから。さらに言うとルパンの8割くらいは、山田さんのそのままの姿なんだと思うんです。山田さんが酒を飲んで『ふ〜ざけんじゃね〜』と言っていたあの軽やかな感じが、ルパンの元になっているんだと思います。だからそれをなくすことはできないし、絶対に残しておきたい。当たり前のことですが、ずっと尊敬しています」

山寺「栗田さんは、いまでも毎回『ルパン三世 カリオストロの城』を観てから収録に臨んでいるそうです。山田さんのお芝居を聴いてから、台本と向き合っていると…。これはすごいです!栗田さんのような先輩がいることは、僕もものすごく刺激になります」

栗田「収録日は『カリオストロの城』を流して、『ああ、やっぱりこの音だ』と確認してから家を出ます。車のなかでも、ずっとそのキーを声に出して現場まで行く。もう趣味みたいなものです(笑)!」

「栗田さんのような先輩がいることは、僕もものすごく刺激になります」
「栗田さんのような先輩がいることは、僕もものすごく刺激になります」撮影/興梠真穂

ーー山寺さんは、納谷さんからバトンを引き継ぎ、今年でちょうど10年が経ちました。

山寺「栗田さんのお話を聞いていると、改めて『まだ10年だな』と思います。やはり僕にとっても、納谷さんの存在は大きなものです。ほかのお仕事でもご一緒させていただき、“リスペクト”という言葉では表せないほどの想いがあります。僕は小さなころから『ルパン三世』を夢中になって観てきた世代で、僕にとってもずっと大好きな作品だったわけです。だからこそ、なんとかしてその世界観を届けたいし、皆さんに楽しんでもらうための努力は怠ってはいけないと思っています。納谷さんとまったく違う銭形になってしまったら、僕自身もきっと許せない。ただそこばかりを気にして、きちんとした自分の芝居ができなくなってしまったとしたらそれもダメなので、そこは難しいところです。でもそうやって葛藤したり、あがいたりしてやっていくぐらいがちょうどいいのかもしれません。それだけの責任がある役柄をいただけたんだなと思っています」

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