『大魔神』4Kで観てもすごい!見事な“職人技”を堪能できる名作特撮
半世紀以上も古びない、大魔神の作り込まれた造形
大人気のコンテンツだけにシリーズ3作品の後も、新たな作品が企画された。最初は公開からまもなく立ち上げられたテレビシリーズ案だが、予算などの関係から無理と判断されたそう。その後もSF作家の筒井康隆や「AKIRA」の大友克洋が脚本を執筆したほか、公募でストーリーを募るイベント式のプロジェクトなども企画されたがいずれも実現はしなかった。2010年には、現代を舞台にしたテレビシリーズ「大魔神カノン」が製作され溜飲を下げたが、映画化への道のりは遠かった。それだけに、今夏公開された『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(公開中)で55年ぶりにスクリーン復帰を果たしたのは大きな話題となったのだ。
本シリーズがゴジラなどほかの人気特撮シリーズと大きく異なるのは、まさにこの「本格的な新作が作られていない」点だろう。3部作以降、半世紀も新作が公開されていないのに、未だに伝説として君臨し続けているキャラクターは他に類を見ない。では、なぜこれほどまでに時代を超えて愛され続ける存在となったのか?それは、第1作の『大魔神』で職人と呼ぶべき匠のスタッフたちが圧倒的な熱量を注ぎ込んだことにより、“本物感”が溢れているからではないだろうか。
撮影の森田富士郎は、本編と特撮、両方の撮影を担当。フィルムの速度を2.5倍することによって、大魔神の動きを重厚に見せたほか、大胆なブルーバッキングによってリアルな合成映像を実現させた。ちなみに森田は『大魔神』で日本映画撮影監督協会の新人賞「三浦賞」を受賞している。
大魔神の身長は180cmの人間の2.5倍となる15尺(約4.5m)に設定され、リアルな恐怖を抱かせるサイズ感になっているが、それに伴い、ミニチュアセットは瓦一枚、柱一本に至るまで正確に1/2.5スケールで再現されている。時代劇で長年培った京都大映の技術を惜しげもなく投入した見事な造りで、大魔神が暴れる破壊のカタルシスの演出に一役買っている。
大魔神の造形は、「ウルトラQ」「ウルトラマン」といった初期ウルトラシリーズの怪獣造形を手掛けた高山良策が担当。荒々しさと神々しさを兼ね備えた傑作を生みだした。高山とスタッフは約3か月かけて造形作業を行い、約4.5mの実物大を2体、人間が入るスーツタイプを2体制作したという。また、音楽は日本映画を代表する作曲家である伊福部昭によるもの。彼の代表作の一つである「ゴジラ」映画の劇伴とはまた違った荘厳なテーマが、スペクタクルに華を添えた。
4K修復によって音や映像、大魔神の質感もクリアに!
今年の夏に開催され、現在も全国巡回を行っている「妖怪・特撮映画祭」では、『大魔神』をはじめとする三部作の4K修復版が上映されたが、宮島正弘撮影監督の監修による修復で、映像も音も過去のマスターとは段違いにクリアに。これによって前述の“職人技”を隅々まで堪能できるようになった。半世紀前の特撮とは思えないほどリアルな存在感や、大魔神の眼差しの生々しさがより鮮明になり、恐ろしさが倍加したと言っても過言ではない。
そんな『大魔神』を自宅で楽しみたい方に朗報。三部作を収録した「大魔神封印函」4K修復版 Blu-ray BOXが現在発売中となっており、さらにApple TVアプリの「MOVIE WALKER FAVORITE」チャンネルでも4K画質の『大魔神』を配信中と、様々なデバイスで本作が見放題となっている。観たことがある人もない人も、ぜひ一度視聴して、職人技のすごさを存分に味わってみてほしい。
文/神武団四郎
プラットフォーム:Apple TVアプリ
チャンネル名:MOVIE WALKER FAVORITE
視聴可能作品:KADOKAWA邦画・洋画・TVドラマ
サービス:月額600円(税込)/無料トライアル14日間/同時アカウント数6
フルHD~4K画質/テレビ・スマホ・PC対応/ダウンロード機能あり
URL:https://favorite.moviewalker.jp