アルコ&ピース平子祐希、衝撃の小説家デビュー! ファンタジーとリアリティの追求に挑む
MOVIE WALKER PRESSの公式YouTubeチャンネルで映画番組「酒と平和と映画談義」に出演中のお笑いコンビ「アルコ&ピース」。そのネタ担当平子祐希が今回、MOVIE WALKER PRESSにて自身初の小説連載「ピンキー☆キャッチ」をスタートした。その意気込み、作品について本人に直撃した。
平子「今回媒体がこちら(映画プラットフォーム「MOVIE WALKER PRESS」)ということで、将来は映画化!という気持ちで書いたのですが、いまのところあがっている作品を自分で読むと、テレ東の深夜ドラマみたいだなと(笑)。単発モノの深夜の12時40分くらいから20分くらいやる感じの」
――確かにとても読みやすかったです(笑)。
「そこは意識しました。小説書くっていうと、わざと捉え方はお任せしますという小難しさで逃げる手法ももちろん考えたのですが。僕姑息なので。今回はそこに逃げずに挑戦しました!」
――ここは大変だったなというところは?
「普段からコントなどでネタは書いていたので、小説という感覚ではなく台本の感覚で書きました。なのでとっかかりはいけましたが、今後の展開をどうするかについては今、ピターッと止まってます。継続の難しさというのはありますね。どう着地点に持っていくのか、その過程など。最後にかっこいい伏線回収のために、いまなにか散りばめておこうかと色気が出ちゃって…。そういう色気が出ると(執筆が)止まりますね。実力無いヤツが無理にそういうことやろうとすると(笑)。一回伏線を無理やりねじ込んだんですけど、バレバレだったので抜きました」
――書いていて楽しかった点はありますか?
「テーマを、普段自分がまったく興味のないアイドル戦隊で書こうと決めました。積極的に知ろうとしてこなかったジャンルですが、そこを芸人でありおじさんの目線で文字で表現していくというのが、とても新鮮な角度から捉えられて楽しかったです。僕、子どものころから斜めぶったところがあるので、アイドル戦隊ってここおかしくない?とか、こここうすればいいじゃん、と思っていたところを今回大人になって文章化しているような感覚でした。ちゃんとリアリティを入れたらこうなるんじゃないのかなという。昔から頭の中でアイドル戦隊モノにツッコミを入れていた部分ですね。イジワルな視点、ファンタジーだけどファンタジーを許さない、みたいな」
――第2話ではちょっといい話も入ってきてます。山田洋次監督作品がお好きだと言うことですが、その影響はありますか?
「やっぱりあるかもしれないですね。志村けんさんのコントでもすごくバカバカしい中に急にいい話はさみこんできたり。スイカに塩をかけるみたいなもので、それでイジワル加減が際立ったり、その逆もまた然りで。そういう感情の起伏みたいなものは強調していきたいなと」
――普段のコントの台本でも笑いと感動のバランスを意識したりしますか?
「本当に純粋に笑いだけに特化した、笑いだけ120%の作品ってとても難しくて、結局、根っこから実力ある人じゃないとおいそれとできるものじゃないと思うんです。そこをどう埋めていこうかと、ちょっとイイ話を入れてくと世間様はいいねと言ってくれるという(笑)。なので、僕はそこの誤魔化しで使っています。でもその分、笑いやイジワルな部分も引き立つ面もあるのかなと思います」
――主人公の都筑はご自身を投影したキャラクターでしょうか?
「多少はやっぱり投影していますね。同年代のキャラクターですしね。いまの若い子への疑問だったり、イマドキの若いもんは、という気持ちもどうしても僕もおじさんなので頭にもたげてきちゃってるので、それをひた隠しにするよりはもうねっとりと出していきたいと」
――お好きな小説家、作家さんは?
「山崎豊子さんの作品が一番好きですね。膨大な取材で史実に基づいたリアリティ。実際にモデルの方がいらっしゃって話に説得力がありますよね。全部が全部作り話だったら、こんなこと起こりゃしないよ、って冷めちゃうところを山崎さんは膨大な取材量で押し込んでくる感じがいいですよね」
――今回の作品にも山崎さん作品の影響はありますか?
「アイドル戦隊というファンタジーに芸能界という絶対的な現実味ですかね。そこは僕も多少なりとも関わってる部分なので、実際に見聞きした体験談だったりを入れ込んでいけるかなと思っています」
――最後に読者に一言!
「アイドル好きの層からも誰かに投影して楽しむことができると思いますし、その対極としてのおじさん目線で読んでいただくこともできますし、かたや若い女性目線で読めるようにも頑張ってます。それぞれのキャラクターのファンができて、それぞれ読者の価値観がぶつかってほしいですね。そんなたいそうな話じゃないですけど(笑)。
平子祐希の初小説連載「ピンキー☆キャッチ」、今後の展開にも期待してほしい!
1978年生まれ、福島県出身。お笑いコンビ「アルコ&ピース」のネタ担当。相方は酒井健太。漫才とコントを偏りなく制作する実力派。TVのバラエティからラジオ、俳優、執筆業などマルチに活躍。MOVIE WALKER PRESS公式YouTubeチャンネルでは映画番組「酒と平和と映画談義」も連載中。著書に「今夜も嫁を口説こうか」(扶桑社刊)がある。