“手紙”が紡ぐ、心震わせる物語。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」に込められた切なる想い

コラム

“手紙”が紡ぐ、心震わせる物語。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」に込められた切なる想い

“外伝”とは侮れない、長編ならではの物語が展開する『永遠と自動手記人形』

テレビシリーズの好評を受け制作された『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形—』では、自動手記人形として成長を重ねたヴァイオレットが、良家の子女のみが通う規律の厳しい女学校に通う、未来への希望を失った少女イザベラの教育係として雇われるエピソードが描かれる。テレビシリーズと舞台を異にする本作でも、「手紙」の役割は健在。1つの物語を90分の長尺で語ることで、2つの異なる時間を「手紙」が繋ぎ、イザベラとヴァイオレットの心の交流がより一層味わいを増して描きこまれている。そして、テレビシリーズより広いシネマスコープの画角で描かれる、研ぎ澄まされた映像表現には、思わず心を奪われてしまうことだろう。

感動を分かち合いたくなる、この時代にこそ求められる物語

お笑い芸人「ハライチ」の岩井勇気に薦められて鑑賞したという東野のほかにも、ROLANDは足立梨花に、鈴木はラジオのディレクターから紹介され、本シリーズを鑑賞したという。ヴァイオレットや依頼者の苦悩や思いが普遍的に表現されていることこそが、「深夜アニメ」の枠にとどまらず、老若男女に支持された理由といえる。またコロナ禍によって人と直接話す機会が少なくなったからこそ、「手紙で想いを伝える」ことに共感し、その感動を人に伝えたくなるのだろう。


ブルーレイ特別版にはオールカラーブックレット66Pほか豪華特典も
ブルーレイ特別版にはオールカラーブックレット66Pほか豪華特典も[C]暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

人から人へ、手紙のように伝えられ、その増幅した想いが物語とシンクロしてたどり着いた本作の“終着点”が、特別編集版、外伝から続く物語が描かれた完全新作映画『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』(ブルーレイ&DVD発売中)だ。深夜アニメの映画化作品としては異例のロングランを記録し、ぴあ映画初日満足度1位や日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞、興行収入21億円ものヒットとなった本作では、ファンの間で神回と呼ばれている第10話の“その先”が語られる。様々な想いが交錯するなか、ヴァイオレットが最後に下す選択は、涙なしには観られないものだ。

ギルベルト少佐が残した「愛してる」という言葉の意味を知るため、依頼人たちの願いを手紙にして届けてきたヴァイオレット。“愛”という感情がもたらす喜びだけでなく、負の側面をも受け止めてきた彼女が、苦悩の果てに選んだものとは。今回の二週連続放送で初めてこの物語に触れた方にも、ヴァイオレットが辿った物語の結末を、どうか最後まで見届けて欲しい。

長い旅の終わりに、ヴァイオレットが綴った手紙。彼女が紡いだ想いの先を見届けてほしい
長い旅の終わりに、ヴァイオレットが綴った手紙。彼女が紡いだ想いの先を見届けてほしい[C]暁佳奈・京都アニメーション/ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会

文/MOVIE WALKER PRESS編集部

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